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活動レポート
2021.10.20 コロナ禍で工夫して継続した学びの場 コラボ・スクール大槌臨学舎 半年間の歩み【NPO法人カタリバ】

ハタチ基金の助成先団体のひとつ、認定NPO法人カタリバが運営するコラボ・スクール大槌臨学舎。被災地の放課後学校「コラボ・スクール」のひとつで、震災直後から、放課後に安心して学べる場を提供してきました。学校でもなく、家庭でもない場で、子どもたちはどのような成長を見せたのか。スタッフが、コロナ禍でも試行錯誤しながら子どもたちと向き合った半年間を振り返ります。

4月:3学年合同で学ぶ 生徒の集うに合わせて通えるようになった教室

2021年度からコラボ・スクール(以下コラボ)の授業体制に大きな変更がありました。
2020年度までは学年ごとに通う曜日を分けていましたが、2021年度からは生徒が希望する曜日に授業を受けられるようになりました。これによって、生徒の都合に合わせて通うことができるため、通いやすくなりました。学年混合で同じ教室で学ぶ姿は、まさにコラボが描いていた、”個別最適化された学びの実現”そのものでした。

3学年合同になることで、生徒たちは最初は戸惑うのではないか?と心配していましたが、生徒たちはすぐに打ち解け、自然な雰囲気で学習に取り組むことができていました。

そして、2021年のコラボには、フレッシュな新入社員が一名メンバーに加わりました。
髙木桜子さんは、大槌町出身で、大槌高校、そしてコラボの卒業生でもあります。

(写真) 髙木桜子さん

5月:コラボに新しい風!オンラインイベントも実施!

5月になると、高校生の利用者の中でも定期的に利用してくれるメンバーが増えてきました。2020年良く通っていた3年生に加えて、1・2年生たちもコラボを利用してくれるようになりました。吹奏楽部の生徒中心に、知育菓子研究会発足したり、学年を超えた交流が生まれているのが印象的でした。中には、コラボに来るまで話したことがなかった先輩と仲良くなれたと話す生徒もいました。

また、オンラインでゲストを招いたイベントも実施しました。
環境問題やSDGsをテーマに講演活動を行っている20歳の方にお話しいただきました。

当日は、地域の若者や中高生が集まり、同じ空間で学ぶことができました。特に高校生にとっては、年齢がほとんど変わらないゲストの方が、地球環境のために活動をしている姿に刺激を受けている様子が見れました。最後の質疑応答の時間では高校生が積極的に質問をしていました。生徒にとって、環境問題がより身近になる貴重な機会となりました。

6月:定期テスト前の自習室

6月は、定期テスト前自習室を実施しました。過去最大の人数が自習室に訪れ、数学、英語を中心に学習していました。高校生になって初めてのテストに望む1年生たちは、高校受験の時に教えてもらっていたコラボスタッフに教えてほしいと質問に来る生徒もいました。

また、嬉しいことに釜石高校に通う卒業生も2名ほどコラボに自習をしに来てくれました。休憩時間には、高校での新生活について楽しそうに話す姿をみてとても安心しました。彼らが時々立ち寄って気楽に過ごせる場所をこれからも守り続けたいなと思いました。

■7月:夏期講習始まる!小中学生も受け入れる

7月は、夏期講習を行いました。今年の夏期講習では小学生~中学生までを受け入れ、夏休みの宿題や苦手教科の克服に取り組みました。
夏期講習の初めにしっかりと計画を立て学習を進める姿に成長を感じつつ、夏休みの予定を楽しそうに話す生徒たちがほほえましかったです。最終的には、期間内に宿題を終わらせる生徒もちらほら。今年の夏もよく頑張りました。

(写真)夏期講習で勉強を教えるスタッフ、荷川取佑太

■8月:コラボの夏フェス大盛況!

高校生を中心に、コラボ夏フェスと題してマイプロジェクトのアクションに挑戦しました!
ホラー企画や、弓道体験、防災ボードゲーム、パズル大会、音楽フェスなどなど。たくさんの企画が実施されました。中学生も自分たちのマイプロジェクトを発表する会を開催し、地域の方や高校生からアドバイスをもらうことができました。企画に参加した中学生の中には、普段はコラボに通っていない生徒も連れてきて一緒に楽しんでいた生徒もいました。大好評で幕を閉じたコラボの夏フェス、毎年恒例のイベントにしてもいいかもしれません。

その直後に発令された岩手県独自の緊急事態宣言。生徒たちの生活にも大きな影響を与えました。
9年生は修学旅行の中止が決定しました。また、2020年に引き続き、大槌祭りの中止が決定。生徒たちの中からも、「今年もお祭りないのか…」と寂しそうな声が聞こえてきました。
コロナの影響は、子どもたちの生活をも変化させてしまいました。

9月:新人戦にテストに大忙し!

部活動の新人戦では、7、8年生が大活躍!真っ黒に焼けた肌が、その努力を物語っていました。対戦表を楽しそうに見せてくれた7年生たち、中学生初の大会が本当に楽しみだったみたいです。スタッフも結果が気になる日々を過ごしました。
そして9月末には、定期テストがあります。テスト期間中の自習室には、生徒たちのためにスタッフおすすめの勉強法を掲示しました。いつもは、遊んでいる生徒たちも真剣に学習に取り組んでいます。お互いに教えあう姿に、仲の良さが現れています。

■コロナ禍でも、子どもたちはたくましく育つ

上半期を終えて、2倍近くに増えたコラボの生徒たち。
コロナ禍で不自由を感じ残念がる姿もありましたが、それでも楽しそうにコラボに通い続ける生徒たちから元気をもらいました。

これからは下半期、コラボが一番忙しい季節の到来です!
中学生は受験に向けて気を引き締めていきます。
高校生は、マイプロジェクト岩手大会に向けて、それぞれのプロジェクトが本格的に動き始めます。
健康に気を付けて、学びの多い日々を送れるようにスタッフ一同頑張っていきます!!

※本記事は、被災地の“放課後学校”コラボ・スクールのサイトより転載しています。