活動レポートの記事

加速する人口減少がまねく新たな課題 将来の夢を描けるよう支える大学生ボランティア
2021年12月21日

ハタチ基金の助成先団体のひとつ、認定NPO法人キッズドア。震災の影響を受けた世帯や、経済的に困窮している世帯の中高生を対象に無料学習会を開催する活動を中心に、どんな家庭環境の子どもたちでも夢や希望を持てるように支えています。今回は、東日本大震災発生から10年に渡り支援を続ける中で、被災した地域が当時とは違った課題を抱えている状況を、現場スタッフからの声をもとにお届けします。

大学生との触れ合いは将来の夢を描くきっかけになる

キッズドアでは、ハタチ基金からの支援を受け、宮城県南三陸町と仙台市を中心とした無料学習会を開催しています。これまで、10年近く支援を続けてきましたが、当時の状況とは変わってきています。

南三陸町で開催している中学生対象の無料学習会は、仙台から大学生スタッフを4~5名ほど同行し、町内の会場をお借りして実施しています。
学習会では、勉強を教えてもらうだけでなく、日常生活の悩みや将来のこと、キャリアデザインを相談できる存在として、大学生スタッフの存在価値は大きなものとなっています。

震災から10年を経て、南三陸を始めとする被災した地域の人口減少と過疎化は、深刻な問題となっています。子どもの数そのものが急速に減少している上に、その多くは高校卒業後、地元を離れて行きます。そのため、日常で大学生と触れる機会が少なく、キッズドアが中学生の学習支援活動を行う中で、初めて大学生と対面する子どももいます。放課後に学習会に来て大学生と話す中で、進路を具体的に考えたり、将来の夢を描けるようになる子どももいるため、親でもなく学校の先生でもない、子どもたちに距離が近い大学生は貴重な存在です。

そんな中、先日、中学の時から学習会に参加していた高校生から、公務員試験合格の報告がありました。一人の子どもの成長を見続けることの大切さ、成長の喜びを改めて実感することができました。

どんな行政の支援の対象を外れた親子も支える

東北地方の中心都市である仙台では、行政の支援の対象から外れてしまったり、支援に繋がらないケースも多いというお話もよく耳にします。

そんな中、先日ひとり親家庭専門相談員をしているハローワークの方から嬉しいご報告がありました。

昨日、キッズドアさんで応援していただいていたお母さんがお見えになりました。
今春4月にキッズドアさんの情報を提供させていただいた後、お子さんだけではなくお母さんもキッズドアさんに繋がられたお母さんです。 親子ともどもキッズドアさんで手厚い応援をしていただいたおかげで、お子さんが大学に合格されたといったご報告でいらしてくださいました。「今、入学金を納めてきたんです!!」と、嬉しそうに振り込み書を見せてくださいました。こんな幸せそうな笑顔を見せていただけたのは、キッズドアさんのおかげです。心からお礼申し上げます。本当にありがとうございます!

困窮や孤立により情報も無く、途方に暮れている親子が、私たちの活動に参加することで、明るく前向きに次のステージに進めるようになったという、とても嬉しい出来事でした。

困っている子どもの可能性をつぶさないために

この活動を続けて行くためにも、支援される側、支援する側という一方的な関係ではなく、双方にとって良さを感じられる場所、存在として「キッズドア」という器をさらに充実していきたいと考えています。

 大学生・社会人・シニア、それぞれのボランティアにとっても、居心地が良く、やりがいを感じられる場所であり、多世代の様々な人と触れ合える場所として、器の入り口を広く低く、身近に関われる存在にしていきたいです。

子どもたちが経済格差や地域的な格差などで夢や希望を諦めてしまわないよう、子どもたちの未来のために、これからも皆さまのご支援をお願いします。

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“スタディクーポンのおかげで挑戦できた”震災を経験した子どもたちからのメッセージ
2021年11月24日
©Natsuki Yasuda / Dialogue for People

ハタチ基金の助成先団体のひとつ、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン。被災した子どもたちに、地域の学習塾や習い事等で利用できるスタディクーポンを提供し支援を続けてきました。今回は、東日本大震災の発生から10年を経て、スタディクーポンを利用しながら次のステップへと進んでいる子どもたちの声をお届けします。

©Natsuki Yasuda / Dialogue for People

■震災当時5歳だった私も、2021年春に高校進学。これからもたくさんのことに挑戦をしていきたい。(高校1年生からのメッセージ)

私は今、学習塾で数学を学んでいます。

日々の学習でも不明な点を塾の先生に聞いて理解できることが多くあります。学習だけではなく、進学の相談でも、2つの高校のどちらを選択するか迷っていたとき、将来を踏まえて自分のことのように冷静に話をしてくれたことには、とても感謝をしています。おかげで、自分の納得できる方向に進められています。

今年の春は、私にとって大切な節目でした。高校に進学することはもちろんですが、東日本大震災から10年が経ちます。今思えば、たくさんの引越しに転校。震災当時5歳だった私も、15歳になりました。この10年間、無事に楽しく毎日を送れたのは家族や周りの方々の協力、支えあってこそだと思っています。

高校へ進学するにあたって、最近は自分の将来について考えることが多くなりました。私は字を書くこと、文章を書くことが好きなので、それを生かした職業についてみたいと今は思います。これから、そんな将来の土台を作っていく大切な時期だと思っているので、日々充実した生活を送るため、勉強に友人作り、またたくさんのことに挑戦したいと思います。ご支援に感謝して、これからも努力していきます。

©Natsuki Yasuda / Dialogue for People

■諦めずに挑戦することで、ようやく卓球の試合に勝つことができた。(中学1年生からのメッセージ)

ぼくは小学4年生になった秋から卓球教室にクーポンを利用して通っています。最初は上手くできず、周りの人たちとは大きな差があり、大会に出ても負け続きでした。それでも、毎週毎週がんばり続け、ついに去年1回戦と2回戦を勝つことができました。

ぼくは今年中学生になりましたが、今まで以上に勉強も卓球もがんばり、周りに置いて行かれないように、とてもがんばろうと思います。いただいたクーポンを使って、充実した中学生活を送っていきたいです。これからもよろしくお願いします。

■クーポンを利用して、音楽関係の仕事に就くという夢を叶えたい。(高校3年生からのメッセージ)

私はクーポンで音楽教室に通わせていただいています。高校も音楽科に通っており、将来は音楽に関係する仕事をしたいと思っているので、音楽教室に通う時間はとても貴重な体験です。

©Natsuki Yasuda / Dialogue for People

このような機会を東北の学生たちにくださったこと、東北の復興へ向け皆さまの応援があったこと、前に進める希望をくださったこと、忘れず頑張っていきたいと思います。皆さまのご支援と、学べることに心から感謝しています。

※子どもからのメッセージは、個人が特定できないよう、一部編集しています。

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【重要】ご寄付いただいている皆様へ~領収書発行および確定申告手続きについてのお知らせ~(1月下旬発送)
2021年11月10日

平素より、ハタチ基金へご支援をいただき、誠にありがとうございます。

公益社団法人であるハタチ基金へのご寄付は、所得税などの税制優遇の対象となります。

呼びかけ人(毎月の継続寄付会員)の皆さまには、2021年1月1日から2021年12月31日までに当法人で受領したご寄付の寄付金受領証明書(領収書)を2022年1月下旬頃を目処に発行・発送いたします。

その他の令和3年分の寄付金受領証明書(領収書)発行および確定申告の手続きに関しましては、以下をご一読ください。

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■寄付金受領証明書発行につきまして

・令和2年分の確定申告時の税制優遇の対象となるご寄付は、2021年1月1日から2021年12月31日までに当法人でご入金が確認できたものが対象となります。

・都度でのご寄付(定期の寄付以外のもの)につきましては、ご入金後から一か月後に、発行のご希望をいただいた方に発行・郵送しております。お手元に届いていない場合には、お問い合わせください。なお、クレジットカード決済の場合には、ご支援のお申し込みから1ヶ月〜2ヶ月後に弊団体へ入金となる関係で、2021年11月15日受付分までが令和3年分の寄付金受領証明書の対象となります。

・ご寄付の申込時に「不要」をご選択された方につきましては、寄付金受領証明書を発行しておりません。必要がございましたら個別に発行いたしますので、下記のお問い合わせ先までご連絡ください。

■ 確定申告の手続きにつきまして

・個人の方は、所得税の控除について、「税額控除」と「所得控除」から有利な方を選択できます。住民税についても、都道府県又は市区町村の条例指定により、税額控除の対象となる場合がございます。その他、詳しくは所轄税務署や国税庁のWebサイト等にてご確認ください。
http://www.nta.go.jp/

・なお当団体へのご寄付は、東京都の条例指定対象寄附金です。
税額控除を受けるためには、確定申告書の「住民税に関する事項」欄に必要事項を記載し、申告書に寄付金受領証明書原本を添付する必要があります。詳しくは、東京都主税局のWebサイト等にてご確認ください。
http://www.tax.metro.tokyo.jp/

・当団体への東日本大震災緊急支援のためのご寄付は、確定申告の際の「東日本大震災に関する寄附金(震災関連寄附金)」には該当しません。

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その他ご不明な点がございましたら、以下の連絡先までお気軽にお問い合わせください。
よろしくお願い申し上げます。

【お問い合わせ先】
公益社団法人ハタチ基金 事務局
TEL:03-3330-0005 ※平日9:00~18:00
お問い合わせフォーム

コロナ禍で工夫して継続した学びの場 コラボ・スクール大槌臨学舎 半年間の歩み【NPO法人カタリバ】
2021年10月20日

ハタチ基金の助成先団体のひとつ、認定NPO法人カタリバが運営するコラボ・スクール大槌臨学舎。被災地の放課後学校「コラボ・スクール」のひとつで、震災直後から、放課後に安心して学べる場を提供してきました。学校でもなく、家庭でもない場で、子どもたちはどのような成長を見せたのか。スタッフが、コロナ禍でも試行錯誤しながら子どもたちと向き合った半年間を振り返ります。

4月:3学年合同で学ぶ 生徒の集うに合わせて通えるようになった教室

2021年度からコラボ・スクール(以下コラボ)の授業体制に大きな変更がありました。
2020年度までは学年ごとに通う曜日を分けていましたが、2021年度からは生徒が希望する曜日に授業を受けられるようになりました。これによって、生徒の都合に合わせて通うことができるため、通いやすくなりました。学年混合で同じ教室で学ぶ姿は、まさにコラボが描いていた、”個別最適化された学びの実現”そのものでした。

3学年合同になることで、生徒たちは最初は戸惑うのではないか?と心配していましたが、生徒たちはすぐに打ち解け、自然な雰囲気で学習に取り組むことができていました。

そして、2021年のコラボには、フレッシュな新入社員が一名メンバーに加わりました。
髙木桜子さんは、大槌町出身で、大槌高校、そしてコラボの卒業生でもあります。

(写真) 髙木桜子さん

5月:コラボに新しい風!オンラインイベントも実施!

5月になると、高校生の利用者の中でも定期的に利用してくれるメンバーが増えてきました。2020年良く通っていた3年生に加えて、1・2年生たちもコラボを利用してくれるようになりました。吹奏楽部の生徒中心に、知育菓子研究会発足したり、学年を超えた交流が生まれているのが印象的でした。中には、コラボに来るまで話したことがなかった先輩と仲良くなれたと話す生徒もいました。

また、オンラインでゲストを招いたイベントも実施しました。
環境問題やSDGsをテーマに講演活動を行っている20歳の方にお話しいただきました。

当日は、地域の若者や中高生が集まり、同じ空間で学ぶことができました。特に高校生にとっては、年齢がほとんど変わらないゲストの方が、地球環境のために活動をしている姿に刺激を受けている様子が見れました。最後の質疑応答の時間では高校生が積極的に質問をしていました。生徒にとって、環境問題がより身近になる貴重な機会となりました。

6月:定期テスト前の自習室

6月は、定期テスト前自習室を実施しました。過去最大の人数が自習室に訪れ、数学、英語を中心に学習していました。高校生になって初めてのテストに望む1年生たちは、高校受験の時に教えてもらっていたコラボスタッフに教えてほしいと質問に来る生徒もいました。

また、嬉しいことに釜石高校に通う卒業生も2名ほどコラボに自習をしに来てくれました。休憩時間には、高校での新生活について楽しそうに話す姿をみてとても安心しました。彼らが時々立ち寄って気楽に過ごせる場所をこれからも守り続けたいなと思いました。

■7月:夏期講習始まる!小中学生も受け入れる

7月は、夏期講習を行いました。今年の夏期講習では小学生~中学生までを受け入れ、夏休みの宿題や苦手教科の克服に取り組みました。
夏期講習の初めにしっかりと計画を立て学習を進める姿に成長を感じつつ、夏休みの予定を楽しそうに話す生徒たちがほほえましかったです。最終的には、期間内に宿題を終わらせる生徒もちらほら。今年の夏もよく頑張りました。

(写真)夏期講習で勉強を教えるスタッフ、荷川取佑太

■8月:コラボの夏フェス大盛況!

高校生を中心に、コラボ夏フェスと題してマイプロジェクトのアクションに挑戦しました!
ホラー企画や、弓道体験、防災ボードゲーム、パズル大会、音楽フェスなどなど。たくさんの企画が実施されました。中学生も自分たちのマイプロジェクトを発表する会を開催し、地域の方や高校生からアドバイスをもらうことができました。企画に参加した中学生の中には、普段はコラボに通っていない生徒も連れてきて一緒に楽しんでいた生徒もいました。大好評で幕を閉じたコラボの夏フェス、毎年恒例のイベントにしてもいいかもしれません。

その直後に発令された岩手県独自の緊急事態宣言。生徒たちの生活にも大きな影響を与えました。
9年生は修学旅行の中止が決定しました。また、2020年に引き続き、大槌祭りの中止が決定。生徒たちの中からも、「今年もお祭りないのか…」と寂しそうな声が聞こえてきました。
コロナの影響は、子どもたちの生活をも変化させてしまいました。

9月:新人戦にテストに大忙し!

部活動の新人戦では、7、8年生が大活躍!真っ黒に焼けた肌が、その努力を物語っていました。対戦表を楽しそうに見せてくれた7年生たち、中学生初の大会が本当に楽しみだったみたいです。スタッフも結果が気になる日々を過ごしました。
そして9月末には、定期テストがあります。テスト期間中の自習室には、生徒たちのためにスタッフおすすめの勉強法を掲示しました。いつもは、遊んでいる生徒たちも真剣に学習に取り組んでいます。お互いに教えあう姿に、仲の良さが現れています。

■コロナ禍でも、子どもたちはたくましく育つ

上半期を終えて、2倍近くに増えたコラボの生徒たち。
コロナ禍で不自由を感じ残念がる姿もありましたが、それでも楽しそうにコラボに通い続ける生徒たちから元気をもらいました。

これからは下半期、コラボが一番忙しい季節の到来です!
中学生は受験に向けて気を引き締めていきます。
高校生は、マイプロジェクト岩手大会に向けて、それぞれのプロジェクトが本格的に動き始めます。
健康に気を付けて、学びの多い日々を送れるようにスタッフ一同頑張っていきます!!

※本記事は、被災地の“放課後学校”コラボ・スクールのサイトより転載しています。

南相馬で子育てと仕事を応援!新規事業Collabo×Station(コラボステーション)スタート!【トイボックス】
2021年9月21日

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ハタチ基金の助成先団体のひとつ、NPO法人トイボックスは、東日本大震災後、みなみそうまラーニングセンターを設立し、待機児童問題解消のための保育施設と学習支援や心のケアを行う放課後児童クラブを運営してきました。震災直後から、一人ひとりに合わせた関わり合いを大切に、子どものみならず、保護者の負担を軽減するための活動を続けてきました。

震災から10年を機に、地域や復興のフェーズに合わせて支援の形を拡大していくため、地域住民の方々にアンケート調査を行い、今必要なことを伺いました。その結果生まれたのが、新規事業「Collabo×Station」です。

2021年4月にスタートした「Collabo×Station」では、地域との協働を通じて、南相馬市の「子育て」と「働く」を応援するプログラムを複数展開。どのような事業なのかご紹介します。


■お茶を飲みながら気軽に “新しいチャレンジ”を相談ができる場所に

東日本大震災から10年が経ち、様々な助成金も打ち切られているのが現状で、地域の子どもを支援する事業も、続けたくても続けられない状況に陥っています。さらに、地域のニーズに合わせた支援が必要とわかっても、新たにチャレンジするハードルも上がってしまっています。そのため、自分たちで経営をしながら地域を支えていくにはどういったやり方が持続可能なのか、模索が始まっています。

そこで始めたのが、トイボックス代表理事の栗田拓とお茶を飲みながら気軽に相談できる「事業/まちづくり相談カフェ」です。Collabo×Stationの事業の一つです。

栗田はこれまで、民間企業の役員などを経て、トイボックスを設立。多くの子どもたちや親御さんの支援を行ってきました。南相馬市の状況をある程度知っていて、でも南相馬市在住ではないという程よい距離感もある経営者に相談する気軽な機会として、子育て支援や街づくりなどにご興味がある方を中心にご活用いただく場としてスタートしました。既に利用された方々からは反響をいただいております。

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(写真)相談カフェは個室で実施。じっくりと相談することも、フラットに雑談をすることも歓迎しています。

■地域住民にアンケート ニーズに応えた新しい遊び場が生まれる

2020年度に、ハタチ基金の助成を活用し、南相馬市在住の保護者や支援者の方を対象に、子育て環境についてのアンケートを行いました。「南相馬市に、どのような子育て支援事業があるといいと思いますか?」という問いに対し、希望が多かった一つが、「自由遊びのほか、子供の年代に合わせた様々な活動体験ができる場所」でした。

そこで、Collabo×Stationでは、子どもがいきいきと遊ぶことのできる環境づくりを目指して、「プレイパーク南相馬」を定期的に開催することになりました。地域の公園で子ども達が豊かに遊べる仕掛けをプレイワーカーの協力のもとデザインしていきます。

様々な助成金が打ち切られる中、ハタチ基金を通した、多くの皆様の継続的なご支援により、子どもたちの豊かな時間や居場所を作る取り組みができていると実感しています。新規事業も含めた、南相馬市の親子を支えるスタッフの研修も、ハタチ基金を通した皆さんからの支援によって行うことができています。これまでの活動拠点となった、みなみそうまラーニングセンターは2021年3月末をもって閉所し、今回のCollabo×Stationを立ち上げました。形は違えど、地域の親子が求める支援を模索し続けています。

震災から10年を経てもなお、ご支援いただいていることを心よりお礼を申し上げます。一人ひとりの子どもが安心安全を感じながら過ごすことができる環境が必要です。今後も引き続き、地域の親子のニーズにあった活動をして参ります。

新規事業「Collabo×Station」についてはこちら

※原町にこにこ保育園、錦町児童クラブは変わらず運営しております。

 

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中高生の居場所と学習支援 震災から10年経った今、変わるニーズと変わらないボランティアの思い【キッズドア】
2021年8月18日

仙台市での学習風景2

ハタチ基金の助成先団体、キッズドアでは、震災の影響を受けた世帯、並びに経済的に困窮している世帯の中高生を対象に、無料学習会を開催してきました。震災から10年が経ちますが、経済的格差や地域間の格差が、子どもたちの学習環境に影響を及ぼしています。

今回は、震災直後から現在まで、どんな形で東北の子どもたちを支えてきたのか。震災から10年経った今、どのような形で必要とされているのかをご紹介します。


■被災地支援10年 子どもたちの学習面を支えたのは多くのボランティアたち

キッズドアは、震災直後より東北に入って被災3県で学習支援をスタートさせ、今年で10年目を迎えました。現在は宮城県仙台市と南三陸町に拠点を構え、中学生から高校生までの子どもたちへ学習支援や居場所支援を行っています。

 仙台では、高校生向け学習会「ガチゼミ」を行い、大学生の受験対策支援や、高校中退防止支援を行っています。さらに、中学3年生向けには、受験対策講座「タダゼミ」や、中学1・2年生向け学習会「タダゼミJr. 」を行い、家庭環境に関係なく、どんな子どもにも学習の場の提供できるように活動しています。

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(写真)「English Drive」といった、学齢に合わせた英語学習会も毎週開催

また学習支援の機会を増やすため、自習室事業も行っています。複数の学習会を掛け持ちで受講する子や、中学時代から高校卒業まで長期にわたり継続して利用する子が増えており、各学習会の出席率も年々向上しています。

現在では震災の直接的影響を受けて困窮しているという方はほとんどいなくなりましたが、発達障がいや不登校など様々なご事情を抱えているご家庭からの利用依頼が増えています。そのため、2020年度からは不登校児のための学習会「HOPPER」をスタート。一人ひとりの事情に合わせた個別サポートを行っています。

English-Drive南三陸2020
(写真)「E-Drive南三陸」での学習

仙台と同様に、南三陸町でも、中高生向けに学習支援を続けています。2017年に志津川高校に設立された公営塾「志翔学舎」の運営を行うとともに、中学生向けの学習指導や、高校受験対策も開催して、多くの子どもたちが希望する進路を目指して勉強をしています。
子どもたちに勉強を教えているスタッフの中には、ボランティアで支えてくれている大学生や社会人の方々がいます。私たちキッズドアの職員だけでは広範囲における子どもたちの支援ができない中、たくさんのボランティアによって運営することができています。

タブレットを使ったAI教材での学習アポート
(写真)タブレットを使ったAI教材での学習サポート

■支えるのは学習面だけではない

キッズドアでは、学習サポート以外にも力を入れていることがあります。進学先や、就職先について考える機会として重要な「キャリア教育」です。
普段子どもたちが接する機会のない東京の企業の方々に、ビデオ会議システムを使ってオフィスツアーを開催していただいたことも。さらには、社員の方々の進路選択体験談を聞かせていただいたりすることで、子どもたちの選択肢が大きく広がっていることを実感します。

身近な存在も進路に置いて重要な役割をはたしています。毎週勉強を教えてくれているボランティアスタッフたちです。大学ではどんなことを学んでいるのか、会社ではどのような仕事をしているのかなどを、質問する機会も定期的に作っています。長きにわたり子どもたちを見守ってくれているボランティアから具体的なアドバイスをもらうことも多く、進路に悩む子どもたちにとって心強い存在となっています。

昨年は新型コロナウイルスの影響で、例年通りには開催できなかった行事もありました。体験活動やイベントは、通常の学習会では見られない子どもの意外な一面を知ることができ、成長の瞬間にも立ち会えるので、感染対策を行いながらできるだけ実施していきたいと思っています。

 急速に変化する社会の流れに子どもたちがしっかりついていけるよう、「自分で考えるチカラ」「未来を想像する力」「スピード感をもって対応できる力」を身につける機会を作り、これからも子どもたちをサポートしていきたいと思います。

食品寄付
(写真)多くの企業の方々から、食品寄付を始めとする寄付をいただいて活動できています

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東日本大震災と重なるコロナ禍の今 家庭からの悲痛な声に応えていく 設立10年を迎えたチャンス・フォー・チルドレン代表からのメッセージ
2021年7月21日

ハタチ基金の助成先団体である公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)は、2021年6月20日で設立10年を迎えました。その間、被災して経済的に困難な状況に陥った家庭の子どもたちに、塾などで使えるクーポンを提供。さらには、大学生ボランティアによる進路や学習面の相談を通して子どもたちを支えてきました。

これまでの10年、そして、今後のCFCの活動において、代表理事の今井悠介氏の思いをご紹介します。


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(写真) CFC代表理事 今井 悠介

2021年6月20日で、法人設立から10年が経ちました。この10年間、CFCと関わってくださった全ての皆さまに心から感謝いたします。

一般的な組織であれば、10年活動を続けてこられたということは、おめでたいことかもしれません。しかし、「子どもの教育格差」の解消に取り組む私たちの場合は、複雑な心境でもあります。「10年間活動を継続している」ということは、同時に「課題が10年間存在し続けている」ということを明確に表しているためです。

特に、新型コロナウイルスの発生によって、課題はこれまで以上に深刻化しています。新型コロナの影響で多くの家庭が所得減少しており、同時に子どもたちは様々な機会を失っています。

現在CFCは、職員・ボランティア総出で、過去最大規模の緊急支援に取り組んでいます。10年をゆっくり振り返る余裕のないまま、10年の日を迎えることになりました。まさか、このような状況下で10年を迎えることになるとは、想像していませんでした。

集合写真
(写真) 大学生ボランティア

■多くの方に支えていただいた小さなスタート

10年前、CFCは東日本大震災を契機に発足しました。私たちは、前身団体(NPO法人ブレーンヒューマニティー)での経験から、放課後の多様な学びや体験・人との出会いの積み重ねが、子どもたちの人生を豊かなものにすると強く信じてきました。

そんな中、リーマンショックによる経済不況、そして東日本大震災という未曾有の災害によって、多くの家庭が経済的な打撃を受けました。
CFCは、このような状況下で子どもたちが経済的理由で学びをあきらめることがないよう、社会全体で子どもや家庭を支える仕組みを作るために、活動をスタートしました。

最初から壮大なプロジェクトのように聞こえますが、実際は震災後に仙台市内のマンションの一室を借りて、20代の若者3人が住み込みながらはじめた、小さな取り組みでした。当時は、半年後の活動の見通しを立てることも難しい状況でした。

そのような小さなスタートではありましたが、多くの方々に支えていただき、10年間で延べ4,000人以上の子どもたちやご家族との出会いがありました。

そして、その背景には、まだ実績がない私たちを信じてくれた寄付者の方々、ボランティアとして参画してくれた大学生たち、協力してくれた塾や習い事の先生たち、他にも多くの支援者の方々の存在がありました。振り返ると、本当に人に恵まれた10年だったと思います。

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(写真) CFC代表理事 今井 悠介

■10年前と重なるコロナ禍

コロナ禍の現在、CFCの事務局にはご家庭から悲痛な声が届き続けています。この光景は、東日本大震災直後の10年前と重なります。当時も、日々被災されたご家庭からの電話が鳴りやまず、多くの子どもたちからの支援の申し出をお断りせざるを得ず、悔しい思いをしました。

今年もコロナ禍で厳しい状況にある家庭の子どもたちからたくさんの支援の申し出がありましたが、希望する全ての子どもたちに届けることはできておらず、自分たちの至らなさを痛感しています。

しかし、10年前と同じ光景ばかりではありません。10年間で積み重ねてきたものがあります。それは、活動を通じて出会った多くの方々との温かい関係性であり、そこから得た数々の学びです。
特に、前を向いて進んでいく子どもたちの姿からは、一人一人の人間が秘めている可能性の大きさを知るとともに、その可能性の芽をつぶさないための環境作りこそが、私たち大人が果たすべき重要な役割だと強く感じました。

そのために、自分たちの活動は本当に正しい方向に進んでいるのか?
迷ったり、葛藤したりしながら、それでも一歩一歩進んできた10年間でした。積み重ねてきたことを大切にしつつ、一方で社会の変化に合わせて、自分たち自身が変わることを恐れず、歩んでまいります。今後とも、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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開所から10年「震災直後から挑戦する機会を」宮城県女川町の放課後施設の移転と感謝の思い
2021年6月24日

ハタチ基金の助成先団体であるNPO法人カタリバが運営する「コラボ・スクール 女川向学館」。
東日本大震災直後の2011年7月にカタリバが立ち上げ、今もなお続く、被災地の子どもたちのための放課後施設です。家庭でも学校でもない子どもたちの第三の居場所として、10年間で532人の子どもたちを支えつづけてきました。

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(写真)14時46分。校舎の時計は、10年前に地震があったときの時間でとまったままになっています。

2021年春、女川向学館は、震災10年を迎える中でこれまで使っていた校舎の取り壊しが決まり、新しい場所へと移転しました。旧校舎で3月18日に行われた感謝式の様子と、コラボ・スクール女川向学館のこれからの取り組みをレポートします。

■路上で勉強する子どもたちに、安心して学べる居場所を

カタリバでは東日本大震災発生後に、スタッフのみんなで街頭募金を実施。集まった募金を持って、カタリバ代表・今村久美が被災地入りしたのは、2011年4月17日のこと。伝手をたどってあちこちの地域を巡るも、カタリバができそうなことは、なかなか見つかりませんでした。

そんな中、最後にたどり着いたのが女川町。女川町は、宮城県内で最も死者・行方不明者数の割合が高かった町です。小中学校は高台にあったため学校にいた子どもたちは助かったものの、町内の約89%の建物が被害を受けており、路上で勉強する子どももいるような状態でした。

そのような状況の中で、教育長や教育委員会と面会し、放課後の居場所をつくることを決定。「子どもたちの教育をどうしていくか?」と地元の先生たちとも話し合いながら、2011年7月4日に初のコラボ・スクールを開校しました。

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(写真)開校直後の女川向学館の様子。地元の塾の先生やボランティアが運営に協力してくれた。

開校した場所は、避難所となっていた女川第一小学校校舎の1階。もともと女川第一小学校に通っていた子どもたちは、2011年4月からは中学校の校舎、7月からは女川第二小学校(現在は女川小学校に統合)を間借りして授業を受けていました。そのため、コラボ・スクール開校にあたって、「もう授業がされなくなった校舎をまた使ってくれてよかった」と言ってくれる子どももいました。

コラボ・スクール女川向学館で受け入れることになったのは、小学1年生〜中学3年生の子どもたち。震災翌年の2012年3月には、37人の中学3年生が高校受験を無事に乗り越え、初の卒業生も送り出しました。10年の活動の中には、長引く仮設住宅での生活の疲れや震災のストレスにより子どもたちが体調を崩したりと大変な時期もありましたが、学校の先生たちや地域の人たちとともに子どもたちを見守り続けてきました。

■20,000時間以上を過ごした「コラボ・スクール」向学館での思い出を振り返る感謝式

震災後、女川第一小学校校舎のグラウンドにはたくさんの仮設住宅が急ピッチで設置され、町内最初の仮設団地ができました。2011年11月には、避難者全員の仮設住宅への引越しが完了。
その後、町内の小学校が統合され、女川第一小学校は2013年3月末をもって閉校になりましたが、カタリバは、その後もずっとこの校舎をお借りして、活動を続けてきました。

しかし開所から10年という年月が流れ復興のフェーズも変わる中で、このタイミングで校舎を移転することに。
2021年3月18日には感謝式として、在校生や卒業生、スタッフたちが校舎やオンラインに集まり、
20,000時間以上の時を過ごしてきたコラボ・スクールでの思い出を語り合いました。

中学3年生の女子生徒は、小学2年生から通った8年間のコラボ・スクール生活について、こんな風に話してくれました。
「苦手な科目にも先生が寄り添ってくれたし、学校で体験できないことに挑戦する機会を与えてくれたと思います。高校受験に必要な作文についても、オンラインで国語の先生がサポートしてくれました。第一志望校にも無事合格しました。挑戦する楽しさを忘れずにこれからも学び続けたいです」

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(写真)高校生活の傍ら、ボランティアスタッフとしてコラボ・スクールで小中学生に勉強を教えてくれた生徒。

現在大学2年生の卒業生は、元女川第一小学校の生徒。震災当時は10歳でした。コラボ・スクールに通いながら、高校時代は「自分も教えてみたい」とボランティアスタッフとして、小中学生へ勉強を教えることも経験。現在は教育学部で教員免許を取ろうとしています。

「日常が大きく変化して疲弊していましたが、向学館ができて、友達と遊んだり、気兼ねなく話せる大人ができたりした。失われたと思っていた交流の場所や安心できる時間をもたらしてくれて、それが自分たちの活力になりました。ここでの経験があったからこそ、子どもの成長に携わるという夢を見つけられました。これからも、子どもたちが放課後に集まって勉学に励める場所であってほしいです」
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(写真)町長や教育長も感謝式に顔を出してくださり、みんなで卒業生や在校生のコメントを聞きました。

また、女川町の町長や教育長からは「自分も子どもが2人お世話になっていました。ひとりひとりに外の世界を見せてくれる玄関口でした」「AI型タブレット教材など、先進的なものを取り入れてくれました。学びや遊びだけでなく、心の拠り所にもなっていたと思います」などのコメントをいただきました。

久しぶりに顔を合わせた卒業生やスタッフ同士、近況報告にも花が咲きました。大学進学や転職はもちろん、結婚したり子どもができたりという報告もあり、この10年間それぞれが頑張ってきたことを感じられる、温かい時間が流れました。

■女川向学館の事例を通して、震災の記憶を受け継いでいける

女川向学館の新校舎の場所は、JR女川駅前のテナント型商店街「シーパルピア女川」であす。シーパルピア女川は、震災後の女川町の顔として新しくつくられた、駅から海に向かって真っすぐに続く商店街。  小中学校からも近い町の中心部にあり、前より通いやすくなったという子どももいるそうです。

向学館立ち上げの時から活動していた山内は、これまでの10年、そしてこれからのコラボ・スクールについてこんな風に話します。
「開校から今までの10年は、コラボ・スクールは”よそから入ってきた”と捉えられていたかもしれません。でもここから10年20年は”もともと女川町にあるもの”として、どういう価値を地域で生み出せるかだと思っています。

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(写真)石巻市出身。女川町で塾を運営し、3.11により被災。震災後は塾の無料開放を行っていたが、コラボ・スクールの話を聞き、参加を決意する。10年経つ現在も業務委託でカタリバに関わり続ける。

「地方ならではの教育格差や機会格差という課題がある中で、女川向学館の取り組みは、地方のモデルケースの1つになると思っています。それに女川に事例を聞きにきてくれたら、ここで起きた震災のことも知ってもらえる。被災地で育った人間としては、今後も日本各地で自然災害がおこりうる可能性があることや、備えが必要であることを忘れてほしくありません。同じような想いを持つ町民はたくさんいます。そうした想いをつなぎ続けながら、今後も活動していくのだと思います」

■この地域に根付いた、持続可能な運営を目指して

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(写真)北海道出身。アフリカ・モザンビークで先生として勤務中に3.11の震災が起き、2012年4月から女川向学館で働きはじめる。2021年より、拠点長に。

また、2021年より拠点長となるスタッフ・芳岡は、これからのコラボ・スクール女川向学館について、こんな風に話します。

「今回、校舎は変わりますが、やることは本質的には変わらないと思っています。放課後の居場所があって、子どもと先輩たちのナナメの関係がある。これまではカタリバという組織で運営してきましたが、この地で継続的に子ども達の成長をサポートするために経営や運営の主体を地域に移管していきたいと考えています。運営ノウハウや人材採用などはカタリバもサポートに入りながら、今後10年20年とここで運営していけるように考えていきたいです。

「ここで生まれた子達が『どこで生まれても関係ない』と言えるようになるのには、女川向学館だけでは難しい。女川町として、町一体で教育に取り組んでいけたらいいなと思ってます。『向学館があるから新しい教育を生み出すことができた』みたいに、日本を代表するような事例になればと思うし、地方の教育のモデルケースをつくりたいです」

これまではご寄付に支えていただきながら運営を続けてきましたが、地域の中で持続可能に運営していくための準備も少しずつ進めています。この地域で培ってきた関係性をよりしっかりと育てながら、子どもたちを支えていける体制構築に、カタリバは取り組んでいきます。


▶女川向学館と同じく東日本大震災後の2011年より、岩手県大槌町でカタリバが運営する「コラボ・スクール大槌臨学舎」も、昨年に校舎を移転しました。緊急事態宣言が明けてしばらくの移転だったため、感染予防等を考慮して感謝式等は執り行いませんでしたが、多くのみなさまに感謝を伝えたいとスタッフが動画を作成しましたので、ぜひご覧ください。現在は、大槌高校内の教室をお借りして、運営を続けています。

【コラボ・スクール大槌臨学舎 旧校舎お別れ動画】

※本記事は、NPO法人カタリバのWEBサイトより転載しております。

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【仙台市内で初の取り組み】認可保育園で子ども食堂を開催!~保育園を地域の親子のセーフティネットへ~
2021年5月28日

 

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ハタチ基金の助成先団体のひとつである認定NPO法人フローレンスの「おうち保育園仙台」では、『ほいくえん子ども食堂』が開催されています。
保育園内での子ども食堂のオープンは仙台エリアでは初めての取り組みです。
保育所との連携により親子に自然なかたちで伴走できるサポートシステムとして、また親子と地域住民をつなぐ多様な交流機会の場作りとして、機能していくことを目指しています。

 

夫婦共働きや単身世帯の増加が当たり前の時代となり、家族を取り巻く環境が様変わりしている昨今。
その中で、食卓を囲むことが家族の絆を深める場としている一方、孤食の恒常化が問題となっています。その裏側には、「孤独な子育て」や「家事負担」といった悩みを抱え、社会支援を必要とするご家庭も多くなっているのが現状です。

このような様々な課題を抱えた子育て家庭が社会から孤立してしまわないよう、地域と繋がりを持ち続けることが重要です。そこでフローレンスが着目したのが、「保育園」でした。
地域に複数ある保育園は地域の子育て情報が集まり、行政機関とも密に連携しているため子育て支援の場として非常に適しています。子育て支援事業者であるフローレンスは、地域の保育園が親子のセーフティネットになることを目指し、その1つの機能として2019年に仙台市内では初の試みとなる、保育園内で開催する子ども食堂をオープンしました。

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認可保育園内で子ども食堂開催に至るまでのいくつもの壁

1.「認可」というハードル

認可保育園で子ども食堂を開催する一番のハードルは、自治体との連携です。フローレンスの子ども食堂の活動は、当初は企業主導型保育園「おうち保育園かしわぎ」を拠点にしていました。
しかし、保育園で子ども食堂を開催し、親子のセーフティネットとなるよう、より多くの地域に広めていく上では、認可保育園内での子ども食堂開催の実現は1つの目標でもありました。

認可園の運営は、自治体から施設の設備や面積などの基準について、細かく指定を受けています。そのため、行政の指示を仰ぎながら何度も調整を繰り返し、1つ1つの課題をクリアしていくことで、2020年にようやく、認可園「おうち保育園こうとう台」での子ども食堂開催が実現しました!

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2.持続可能な子育て支援の実現
園内で子ども食堂を運営していく上で、次に大きな課題となったのが、人員です。
子ども食堂を運営するメンバーには保育スタッフを始めとする、園を支えるスタッフ達が中心となり活動を行っています。しかし、日々の保育に加えて子ども食堂を運営しているため、活動人員は限られています。
そこで子ども食堂を支え、活躍してくれているのが、学生ボランティアの皆さんです。これまでに、のべ41名の学生ボランティアが参加してくれています。

ボランティアでは、学習支援、お子さんの見守りや絵本の読み聞かせ、手作りおやつに子どもたちと挑戦する等、さまざまなサポートを行ってくれています。
このように地域ボランティアの協力を得ることで、限られた人員でも持続可能な子育て支援が行えています。
(※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、現在は必要最低限のスタッフ体制で運営しております)

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(利用者の声)
何度か利用させていただいてます。普段は自分が家族の夕ご飯を作っている時間が、子ども食堂がある日は家族一緒にお散歩をしながらお弁当を取りに行く時間となり、とても楽しいひとときです。いつも美味しいお弁当ありがとうございます。
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子ども食堂利用者の方から、このような嬉しい声もいただきスタッフ一同とても励みになりました!
同時に、世の中が大変な時にこそ継続した支援・活動を行うことで、1人でも多くの親子の笑顔につながっていくのだと気が引き締まる思いです。

おうち保育園仙台では、このような子育て支援の輪が全国の保育事業者の皆さんに広まっていくことを願い、これからも支援活動を続けていきます!

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東日本大震災から10年を迎えて(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事 奥野慧)
2021年4月27日

集合写真

東日本大震災から10年目となる今年。今も変わらず活動を続けるハタチ基金の助成先団体は、どんな想いでこの節目を迎えたのでしょうか。
震災直後から被災地に赴き、現在はハタチ基金の助成団体である公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの理事として活動する奥野慧さんからのメッセージです。

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私が初めて宮城を訪れたのは2011年3月26日、震災から2週間が経った頃でした。最初に向かった仙台では、ガソリンを求める長蛇の列や、窓ガラスが割れたコンビニ、壁が崩れたビルなど、被災直後の街の姿を目の当たりにしました。

そして、2日後に向かったのが石巻市。そこは今考えても現実とは思えない、目を背けたくなるような光景が広がっていました。街の真ん中に流れ込んだ漁船、基礎だけが残った家々、倒れた電柱に潰された車、どこからか流れついた魚と街を覆う生臭さ。一瞬にして、とてつもない絶望感に襲われたのを覚えています。

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それから2ヶ月間、私は「つなプロ」(様々な専門性を持つNPOが連携し、被災者とNPOの支援をつなぐ取り組み)の事務局として避難生活をする方々のサポートに関わり、2011年6月に共同代表の今井、前代表の雑賀と共にCFCを設立しました。

様々な思いが合わさって始まったこの活動ですが、私自身は、「今度は自分がやる番だ」という強い使命感を感じて動き出していました。それは、2004年に地元を襲った新潟県中越地震の後、友人が車で受験勉強をしていた姿。2011年につなプロで訪問した多賀城市の避難所で参考書を広げていた高校生の姿。この2つの光景が重なって生まれた思いでした。

あれから10年が経ちます。10年という時間は、人々の記憶を風化させる一方で、被災された方々を癒やすには十分ではない時間だったように思います。近年も、CFC仙台事務局には被災をされた保護者から様々な声が届いています。

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■東日本大震災で被災をされた保護者の声
『大災害に精神が追いつかず、当時していた仕事ができないまでに心が弱ってしまいました。今でも精神的に不安定になる事も多く、病院で処方された薬を飲んでいます。』(宮城県名取市)

『震災後、元夫のDVと子どもへの虐待が原因で精神疾患になり、震災前の1割~2割ほどしか子育てができなくなりました。家事が思うようにいかず、子どもたちに協力してもらっています。』(宮城県仙台市)

『(原発や放射能を気にして)自宅では窓、カーテンを閉めての生活、外で遊ぶことは全くなくなりました。外に出たくても出られずゲームばかりの日々でした。』(福島県いわき市)

『3歳だった娘は私に抱かれて津波から逃げた記憶を今でもしっかり覚えているそうです。家が全壊、親戚や友達が亡くなり、避難所の小学校でダンボールの中に入り、黒色のクレヨン一色で流れていく家や車の絵を描き続ける娘を見て、この子に笑顔が戻る日が来るのかと不安になりました。』(宮城県石巻市)
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■10年が経った今、生まれた課題
このように、10年が経った今もなお、被災された方々の声からは震災の影響が色濃く残っていることを感じます。

また、10年が経ち、困難な状況が長期化したことで生まれた課題もあります。近年は、喪失体験や経済困窮に加え、健康面、虐待、障害、孤立など、複合的な困りごとを抱えているケースが増えてきており、より細やかで継続的なサポートが必要になっています。

その一方、10年活動を続ける中で、積み上げてきたものもあります。

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■10年前には見えなかった希望とこれからの歩み
当初、3人で始めた活動は、数千もの方々に支えられる活動になりました。1年目150名に提供したスタディクーポンは、10年で延べ3,000名以上に提供するに至りました。

クーポンを利用して就職や進学をして巣立っていった子、地元で働き、その支えになっている子もいます。また、当時被災をした子どもが、現在は学生ボランティアになっていたり、寄付者になって活動を支えてくれていたりします。

こういった、CFCを通じて東北を支えてくれている方。自らが震災で味わった苦しみをエネルギーに転化させ、今の子どもたちに寄り添う若者。これらは10年前には見えなかった一つの希望です。

私たちは、子どもたちの教育機会を保障し、地域の未来を担う者を育てることが、東北の復興に寄与すると信じ、活動を続けています。この思いは今も変わりません。これからも、東北と子どもたちの未来に向けて、歩みを進めていきたいと思います。

2021年3月11日
公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン
代表理事 奥野 慧

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