勉強する場を奪われた子どもたちに、学べる場を
コラボ・スクール(認定特定非営利活動法人カタリバ)

main_img
※このページの情報は、2012年度のものです。最新の情報はこちらをご覧ください。

震災後の課題

コラボ・スクールは、被災地の子どもたちのための放課後の学校です。東日本大震災による津波は、子どもたちの学習環境に大きな爪あとを残しました。コラボ・スクールのある宮城県女川(おながわ)町と岩手県大槌(おおつち)町は、住居倒壊率が82.6%、64.6%と高く、震災から2年が経った今でも、狭い仮設住宅の隅、1mの隙間で机に向かう生徒、家族が見ているテレビの音で勉強に集中できない生徒が残されています。

被災地での活動

2011年7月、避難所として使われていた小学校を借り、宮城県に「女川向学館」を、 同年12月、公民館やお寺などを借り、岩手県に「大槌臨学舎」を設立しました。2012年度は約 400人の小中高生へ、学習指導と心のケアを行いました。数学・英語など基礎学力の学習、英会話や読解力・科学実験など発展的な学習の他、 東北復興を担う人材の育成、そして未来のイノベーター輩出を目指しています。

img01

宿題をする場所がなく仮設住宅の前で勉強する児童(2011年6月)

地域全体で、子どもたちを支える

コラボ・スクールが大切にしたのは、さまざまな立場の方とのコラボレーションです。町役場や教育委員会、小中学校などとも協働し、地元の方々も雇用しています。保護者も、受験生の食事作りやお守り製作などで学校運営に参加。ボランティアや、遠くから見守る寄付者の皆様も合わせて、それぞれが組織や役割を超えて、協力しながら子どもたちを支えています。

img02

お守りを製作してくださった保護者の方々

卒業しても子どもたちの「居場所」へ

3月16日、中3生を対象にした向学館の卒業式こと「最後の授業」が行われました。卒業証書の授与から、校長今村からの贈る言葉。そして、これまでの自分を振り返り、未来に向けての約束をカードに記入しました。コラボ・スクールでは、高校生も自習室やプロジェクト学習などを通し、気軽に帰ってこられる居場所となることを目指しています。

img03

女川向学館「最後の授業」

これまでの成果(2012年度)

2012年度、コラボ・スクールは約400人の子どもたちをサポートしました。保護者へのアンケートでは、約80%が「子どもが勉強に対して前向きになった」と回答。中3生124名のうち、95%を超える生徒が、第一志望校へ合格するなど、学力向上にも貢献しました。 また、約90%が「子どもたちにとって重要な居場所となっている」と回答するなど、子どもたちがさまざまな人と出会い、前向きに未来へと歩んでいく居場所の役割を果たしました。

今後のビジョン「寄付・行政・受益者負担をバランスよく」

女川向学館では4月上旬、大槌臨学舎では5月上旬から2013年度がスタート。大槌臨学舎では、13年度も高校の部に、卒業生50人が登録するなど、中学からの継続したサポートを続けています。また、保護者の方々からの「より主体的にコラボ・スクールに関わっていくべき」という声から、奨学金制度を設けながら、一部授業料を有料化。寄付・行政・受益者負担をバランスさせた運営を目指しています。

将来の夢「教師」へ、一歩一歩近づいていきたい

僕たちを支援し支えてくれたたくさんの皆様本当にありがとうございました。 僕は、この臨学舎で学んだことは、将来の大きな財産になったと思っています。先生方からは、たくさんのことを学びました。自分の経験やちょっとしたおもしろい話しなど。僕のあこがれる人達です。僕の将来の夢は、教師です。この夢を持たせてくれたのも臨学舎のおかげです。自分の夢へ、一歩一歩近づいていきたいです。本当にありがとうございました。

img04

大槌臨学舎/佐々木 紘也