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【開催レポート】2015/03/09「被災地は、忘れられたのか?~被災地こども支援の現場から見えること 震災4周年フォーラム~」
2015年3月26日

2015年3月9日(月)、「被災地は、忘れられたのか?~被災地こども支援の現場から見えること 震災4周年フォーラム~」を日本財団ビルにて開催しました。足元の悪い中、60名以上の方にご参加いただき、被災地の現状と子どもたちの未来について思いを馳せる時間となりました。本レポートではその様子をお伝えします。

久美さん

まず、公益社団法人ハタチ基金を代表して、代表理事の今村久美が挨拶をいたしました。

「今日は、震災から4年経って、子どもたちがどういう状態なのかという事をご紹介したいと思います。震災が起きたときに、(本イベントで活動報告を行う)4団体がこの日本財団ビルに集まって、様々な団体が被災地に支援をしている中、私たちはチームとしてどういう支援をすればいいか話し合いをしていました。そんな中、震災が起きた時の子どもたちが自信をもってハタチの日を迎えられるように、様々な年齢の子に対して様々な場面でその時に必要な支援をしたい、と思い立ち上げたのがハタチ基金です。(中略)NHKが宮城県の沿岸部の小中学校に対して実施したアンケート(2015年1月~2月)によると、専門的な心のケアを受けている子どもの数は2,500人、不登校は153人、震災前後で子どもたちの心に変化がみられると答えた割合は3割となっています。肌感覚としても、不登校・保健室登校・暴力的な子どもは増えている様に感じます。この変化が震災に起因するものなのか、データからだけではわかりません。しかし、この変化を私たちはどう捉えていくか。今日は皆さんと一緒に考えていきたいと思います。」

青柳さん

続いて、公益財団法人日本財団 公益チームリーダー兼ソーシャルイノベーション推進チームリーダーの青柳光昌さんからご挨拶をいただきました。「日本財団はハタチ基金の立ち上げ当初から一緒に活動してまいりましたが、今年1月、代表の皆さんが立ち上げた公益社団法人ハタチ基金に運営を移管しました。各団体としても忙しく活動している中、公益社団法人を立ち上げることは大変なことだったと思います。しかし、それを実際にやっているのは復興支援に対する意思の表れです。これからも活動を見守っていただきたいと思います。」

メインプログラムである2014年度の活動報告とパネルディスカッションでは、ファシリテーターを東日本大震災復興支援財団専務理事の荒井優さんに務めていただきました。

荒井さん

▼登壇者
今村 久美(公益社団法人ハタチ基金代表理事・認定特定非営利活動法人カタリバ代表理事)
駒崎 弘樹(公益社団法人ハタチ基金代表理事・認定特定非営利活動法人フローレンス代表理事)
白井 智子(公益社団法人ハタチ基金代表理事・特定非営利活動法人トイボックス代表理事)
今井 悠介(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事) 
ファシリテーター 荒井 優(東日本大震災復興支援財団専務理事) 

まず、ハタチ基金がこの1年に支援してきた事業について報告が行われました。

ふくしまインドアパーク(認定特定非営利活動法人フローレンス)

「この4年間運営をしてきましたが、郡山市がようやく4つの屋内公園を作る事を決定し、公的機関に役割をバトンタッチする事ができました。(郡山園は2015年3月末に閉園予定。詳細はこちら
経済問題で言えば、東北の求人倍率は高くなってきていますが、産業が育っているかといえばまだまだです。ただでさえ働き手が不足している中、待機児童が増えて、女性が働けないという問題があります。そこで、待機児童数が全国でもトップクラスである仙台でこの問題を解消するために、フローレンスは小規模保育を先駆けとして行います。」

みなみそうまラーニングセンター(特定非営利活動法人トイボックス)

「今までは宿題をさせる、ということだけで精一杯でしたが、最近はようやく子どもたちが落ち着いてきて、コミュニケーションなど社会的スキルのトレーニングなどができるようになりました。この1年は大変でした。子どもだけではなく、被災地の大人たちも疲れてきています。元に戻る事はできないと薄々分かっているけど、それを言えない、その大人の気持ちを察して子どもが傷つく、そんな状態でした。発達障がい児は個別支援が必要です。しかも、発達障がいではなかった子でも、震災をきっかけに落ち着きを失ったり、以前とは違う行動をするようになった子どもがたくさんいます。」

コラボ・スクール女川向学館・大槌臨学舎/未来創造事業
(認定特定非営利活動法人カタリバ)

「学校が、子どもたちの心のよりどころになって欲しいと思いますが、ご自身も被災者でありながら子どもたちと向き合っている先生たちも、心が疲労しています。今、先生の手が行き届きにくい不登校の生徒のサポートや、支援者と学校を繋ぐコーディネーターの役割なども、学校や教育委員会と連携して行っています。一方、悲観的な面だけではなくて、ポジティブな面も見えてきています。女川町では、「将来の夢や希望を持っている」「地域や社会をよくするために、何をすべきか考えることがある」と答える中学生の割合が全国平均より高いという事がアンケートでも明らかになっています。」

学校外教育バウチャー提供事業(公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン)

「震災によって経済的な困難を抱えた子どもの支援を行っています。現金ではなく、学校外での教育を受けられるクーポン券を配布しています。これまで約800人に支援しました。習い事や塾など、あらゆる教育的機関で使えるクーポンです。支援を受けた子には、その背後にいる寄付者の存在に気付いている子どもが多くいます。クーポンを通して、支援をくださる皆さんに見守られている事を実感しているのです。」

その後、参加者の方々からのご質問にもお答えしながら、被災地の現状の課題についてディスカッションが行われました。その内容を一部ご紹介いたします。

パネリスト

参加者
「バウチャーの配布対象者は、どのように選ばれるのでしょうか?」

今井
「2014年度は150人が新しく支援対象者として選ばれました。今年度の応募は1,800件で、昨年度より増加しました。正直、十分な寄付を集められなくて、支援が行き届いていません。審査基準としては、学習意欲を図るアンケートで意欲は高いけれども、生活保護や就学援助を受けているなど、経済状況が悪い子どもを選定しています。この4年間で何が変わったか、というと、震災直後の「みんなで頑張ろう」という状況とは違って、前に進んでいる人と進んでいない人の間に差が出始めたということです。『私たちの時間は、2011年3月11日で止まったままだ』という人が、まだまだ多くいます。」

参加者
「南相馬市で支援活動をされている白井さんに質問します。福島には多くの課題があると思いますが、今の状況や課題に思っていることを教えてください。」

白井
「一番感じるのは、支援を欲している人と、実際に届いている支援のアンバランス。届いていないところに適切な支援を届けて、未来に希望を持つ子供たちを育てていく必要があります。」

駒崎
「今、国などの復興予算が、道路の整備などの社会的インフラを作ることに投入されていて、実際、そういった復旧は徐々に進んできています。一方で、人のケアなど、ソフト面を支えるお金は足りていません。リソースが足りているわけではないのに、足りているかのように報道されているように感じます。」

荒井
「22年前の北海道南西沖地震を忘れてはいけないと思います。1千億以上の予算が費やされて完全復興が宣言されましたが、今、人口は減り、作ったインフラの修繕費もなく、看板ははげ、電気がついていないところもあります。20年というスパンを考え、東日本大震災の復興はできたか?を振り返る必要があると思います。20年経った時に、様々な声に耳を傾けられなかったためにソフト面の支援が行われなかった、ということがないように。」

今井
「昨年、CFCが被災した約2,300の家庭の子どもと保護者を対象に行った調査の結果によると、震災後、父親の正規雇用の割合が約9%下がり、一方で非正規雇用が増えています。経済的な理由で塾に行けない、と答える子どもが全国に比べ、非常に多くなっています。」

今村
「塾は必要ないと思われる方もいるかもしれません。でも、学力が高い子が高所得者になるという事実があります。また、家庭でも学校でもない場所が必要。やるべき所から逃げない心のケアをする場になります。塾などのある地域ではバウチャー事業のような制度が、塾も流されてしまったような地域ではコラボ・スクールのような場所が必要だと思っています。
国の集中復興期間と位置づけられている震災から5年間を過ぎたら、『緊急スクールカウンセラー委託事業』など、行政からの支援が打ち切りになることがほぼ決まっています。想いを持った方からの支援が、ますます必要だと感じています。」

駒崎
「風化にどう立ち向かえばいいのか。悲壮感は持っていませんが必死にやっていかなければなりません。支援は必要ですが、成果を出す事も大事です。投資をすれば、子どもの成長が見えるような支援が必要だし、そういう支援をやっていきたいです。」

パネルディスカッションの後、中学3年生時からコラボ・スクール女川向学館に通い、この4月に大学進学を予定している生徒が感謝の意を込めて、自らの成長について参加者の前で発表を行いました。

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(一部抜粋)「震災当日、私は中学校にいました。その後、家族の安否がわからない中、3日間避難所で過ごしました。偶然、津波を見ていましたが、ずっと現実だと思えず、震災から3日後、母に会えた時、涙が初めてでました。母と歩きながら帰った、変わり果てた町の風景は今も覚えています。中学生の頃、私にとってコラボ・スクールは、放課後に勉強が出来る場所、友達と会える場所、震災という現実を離れて、ほっとできる、そんな場所でした。私は毎日のように向学館へ通い、教えてくださるスタッフの方とたくさんの話をしました。コラボ・スクールは、震災後の私の生活に、震災前は考えられないような、たくさんの場やチャンスを与えてくれました。この様なたくさんの貴重な機会をくださったコラボ・スクール、そのコラボ・スクールを支えて下さった方々にとても感謝しています。ありがとうございます。」 全文はこちら

最後の挨拶では、代表理事の一人である白井智子が「支援された子が支援する側になるまで、支援したい。」という決意を表明し、会を締めくくりました。

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ご参加いただいた皆さま、USTREAM中継をご覧いただいた皆さま、本当にありがとうございました。中継では一時中断が起きるなど、ご覧いただいていた方々にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。

集合写真

震災から5年目を迎え、ハタチ基金はこれからも被災地のフェーズに応じた支援活動を実施していきます。引き続き、復興への道のりをともに歩んで頂けますと幸いです!