2013.08.30
ハタチ基金の助成団体のひとつ、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン。塾・予備校・習い事などの教育サービスに利用できる”スタディクーポン”を被災した子どもたちに無償で提供し、学習の機会を増やしています。
今回は、公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの仙台事務局スタッフ、近藤有希さんのメッセージをお伝えします。
こんにちは、CFC仙台事務局の近藤です。
今回は「スタディクーポンの利用先」をテーマに書かせていただきます。
スタディクーポンは学習塾など学校教科の学習だけではなく、ピアノ教室や英会話などの文化活動、水泳やサッカーなどのスポーツでも利用することが可能です。
なぜ学習だけでなく、文化活動やスポーツでもクーポンが利用できるのか、疑問に思われる方もいらっしゃるかと思いますが、その理由をお伝えします。
経済学の分野では、学歴や収入などの成果に影響する資質として、偏差値やIQなどで測れる「認知能力」が重要とされてきましたが、近年、「非認知能力」と将来の所得との相関関係も明らかになってきています。
( 参考 :『非認知能力と子どもの貧困-幼児期の環境で子どもの将来は決まってしまうのか?』https://cfc.or.jp/archives/column/2016/07/11/10863/ )
「非認知能力」とは、やる気や忍耐力、自制心や勤勉性など学力以外の力を指していますが、非認知能力の向上は認知能力の発達を促すことも言われています。
この非認知能力は、幼少期の家庭環境や課外活動(特に運動系・学術系クラブ)が発達に大きく寄与することも研究で明らかになっています。
スタディクーポンが文化活動やスポーツ教室等でも利用できることで、子どもの非認知能力に良い影響を与え、私たちが取り組んでいる貧困の世代間連鎖を断ち切ることにも繋がると考えています。
昨年度のスタディクーポンの利用先実績を見ると、クーポンを提供した438名の子どもたちの中でも、28%は学習以外の分野でクーポンを利用していました。
実際に文化・スポーツの分野でクーポンを利用しているご家庭から寄せられた声をいくつかご紹介します。
『英会話と音楽をならっていて、英検にチャレンジしたり、音楽のレッスンもとてもやりがいを感じているようです。
学校の部活動でも吹奏楽部を選び意欲的に頑張っています。音楽を通して先生や友人と出会い、大会や発表の場を経験して成長している思うことが多いです。』
『サッカーとそろばんに通っていて、サッカーの試合、練習の合間にそろばんに通い、体力的にもしんどいはずなのに自らそろばんをはじく練習をしてみたり
「僕は学年の中でもトップになるんだ!」といい、実現させ、検定でも1級を受けたばかりです。』
『学習障害があり、勉強は苦手ですが、サッカーを始めて自分に自信の持てるものができたようです。
これからもサッカーを続けていきたいと話しています。』
『クーポンを利用して参加したサマーキャンプで本人は自分のやりたいことに出会えたようで、
将来の具体的なビジョンを持って、進学先を決め、それに向かって勉強をしているようです。』
このように、子どもたちが自分の関心のある文化活動やスポーツなどに打ち込む中で、様々な大人や仲間と出会ったり、自分の得意なことを見つけています。
子どもたちの「できた!」「もっと上手にできるようになりたい!」といった感情が、子どもたちの生活の中での意欲や自信につながっていると、日々の活動の中でも感じています。
これらが、子どもたちが社会を生き抜いていく土台となると考えています。
クーポンを利用している子どもたちは様々な背景があり、特性も一人ひとり異なります。だからこそ、子どもたち一人ひとりの興味や関心に合わせた多様な学びの環境を用意していくことが大切なのではないかと思っています。
クーポンの利用先を学習塾に限定するのではなく、文化活動やスポーツを含め、幅広い選択肢を用意しているのはこのためです。
今後も子どもたちがやりたい!と思ったことにチャレンジできるよう、活動を続け、応援してきたいと思います。