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父の死、震災で、人との関係や 地域コミュニティの大切さに気づく【311特別企画:助成先団体 卒業生の“いま”】
2022年3月10日

東日本大震災の発生からまもなく11年。
東北3県で活動するハタチ基金の助成先団体で支援を受けた子どもたちの、成長した姿をお伝えする企画シリーズ。
今回は、NPO法人キッズドアの支援を受けていた卒業生のお話です。キッズドアでは、震災の影響を受けた世帯や、経済的に困窮している世帯の中高生を対象に、定期的に無料学習会を開催しています。中学高校に渡り、学習会に参加した佐々木さん。現在は大学生となり、将来の夢に向かって勉強に励んでいます。

仙台の無料学習会「タダゼミ」に中3の10月から通いました。中学では 吹奏楽部に入っていて、その年は運良く大会で勝ち進んだた め、10月になるまで部活一辺倒でした。部活を引退して高校受験に向き合ったときに、「このままの成績では志望校は絶対にムリ! 塾には経済的にいけない、どうしよう…。」
そう思っていたところ、学校に置いてあったチラシでキッズドアの無料学習会を知り、家族と相談して通うことにしました。 数学が苦手だったので、とても丁寧に教えてもらいました。

志望校に進学し、引き続きキッズドアの大学入試用学習会 「ガチゼミ」にいくことにしましたが、吹奏楽部と市立オーケストラでの活動で忙しく、月に1回か2回行くのがやっとでした。 テストの直前に駆け込んで「ここがわかりません!」といって教えてもらっていました。しかしこのままでは志望大学への進学は難しいと考え、3年生の4月に部活を辞める決断をし、ガチゼミにきちんと通うこ とにしました。わからないところや苦手なところをどんどん質問して、教科によっては学生ボランティアさんに私の専任になっていただきながら、とても親切に教えていただきました。

そのおかげで無事、志望校に合格できました。キッズドアの学習会がなかったら、志望高校にも大学にも行けておらず、 今の自分はなかったのではないかと思います。

たくさんの人と関わることの楽しさを伝えたい

現在、週1回、キッズドアが運営する、板橋区中高生向け学習会「学び i プレイス」でボランティアをしています。この学習会は、勉強や成績アップだけを目指すのではな く、勉強しつつ様々な相談にものるような子どもたちの放課後の居場所です。キッズドアの他の学習会では、生活困窮者や一定の条件で参加者や人数が決められるのに対し、ここは自由参加型で誰でも来られる場所なので、勉強はもちろん、話をしにくるだけの生徒もいます。

私は東日本大震災当時、小学4年生で、大きな被害には遭いませんでしたが、マンションの住人同士の交流が盛んで、お互いに気を遣ったり食材を持ち寄っての炊き出しなどが豪華だったり、地域コミュニティでの交流の大切さを感じました。 たくさんの人と関わる楽しさや大切さに気づいたのはそれがきっかけです。
子どもたちの悩みや関心事に親身に耳を傾けることから、人と関わることの楽しさ、勉強の面白さ、将来への興味などが生まれてくるのではないかと思います。

父の夢を叶えようという思いが、勉強する原動力 

私の父は、震災の年の夏、急性の病気で倒れ、翌日亡くな りました。震災も身近でしたが、大切な家族が亡くなり、それがどんなに自分と近しい間柄の人だったとしても、それで世の中が大きく変化するわけではなく、世間では同じような日常が続いていること、自分もだんだんその人が欠けた生活に慣れ ていくことに寂しさを感じた記憶があります。

少ししてから、生前の父がセカンドキャリアとして日本語教師を目指していたこと、資格試験直前での死だったことを知りました。代わりに父の夢を叶えようという思いが、当時、勉強し ようという原動力になりました。中学、高校とキッズドアのボランティアさんやスタッフさんに応援してもらったことを感謝するとともに、今度は自分が何か人のためにできることを実行に移すために、日本語教師になることも視野にいれながら勉強していきたいと思っています。

この文章は、NPO法人キッズドア 2018年度事業報告書より転載させていただいています。

ハタチ基金では、震災から10年の節目に、「2031年 復興のその先を切り拓く力を、子どもたちに。」といったメッセージを発信しました。このメッセージには、残りの活動期間で、東北の未来の復興を支える社会のリーダーを育てること、東北から社会を変える新しい仕組みをつくることを目指す思いが込められています。

東日本大震災で被災した地域の子どもたちを、みんなで一緒に支えていきませんか。

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