2021.10.20
宮城県の酒造メーカー 一ノ蔵が、2024年2月に出荷した「一ノ蔵 特別純米原酒 3.11未来へつなぐバトン」の売上金全額をハタチ基金へ寄付してくださいました。震災発生直後から毎年売上金を寄付してくださり、今回で13回目となります。
2024年5月、一ノ蔵本社にて寄付金贈呈式を行っていただきましたので、ここにご報告いたします。
「 一ノ蔵 特別純米原酒 3.11未来へつなぐバトン」に込められた思い
宮城県大崎市にある一ノ蔵本社は、2011年の東⽇本⼤震災で被災しました。震災直後は酒造りの⾒通しも⽴たず、社員の方たちが不安を抱く中、県内外から温かい⽀援をいただいたことで、酒造り再開への一歩を踏み出すことができたそうです。その時の恩返しの思いを込めて、東北で被災した地域の子どもたちへの支援に繋げるため、2011年12月に醸造発酵による⽀援プロジェクト「未来へつなぐバトン 醸造発酵で⼦どもたちを救おうプロジェクト 」が発足。以降、毎年「一ノ蔵 特別純米原酒 3.11未来へつなぐバトン」を出荷し、全国の酒販店や日本酒ファンの方々にご購入いただいた売上金全額を、ハタチ基金へご寄付いただいています。
株式会社 一ノ蔵 鈴木 整 社長からのメッセージ
今年も、全国の日本酒ファンの方々、酒販店や飲食店の方々、このお酒の原料を作ってくれた地元⼤崎市松⼭町酒⽶研究会の方々にご協力をいただいて、ハタチ基金に寄付を届けることができました。震災後、応援の声をたくさんいただいて私たちが酒造りを再開できたことへの感謝の思いを込めて、毎年子どもたちへの寄付という形で“恩送り”をしています。ハタチ基金の活動期間20年間、支援を続けていきたいと始まったプロジェクトですが、今年も皆さまからのバトンを繋げていけたことを嬉しく思っております。
今回の贈呈式では、ハタチ基金が助成をした岩手県大槌町にあるコラボスクールの卒業生、古川真愛さんも出席しました。古川さんは、2024年に起きた能登半島地震でハタチ基金の今村とともに子どもたちの支援も行い、自身のこれまでの経験と能登の被災地で感じたことをお話しました。
古川真愛(まなと)さん (現在は大学3年生)
震災が起きたときは、小学2年生でした。自宅は全壊し、津波で母と弟と妹を亡くしました。当時は小さいながらも周りに気をつかってわがままを言えなかったり、大人たちと一緒にまとまって行動しなくてはならなかったため、我慢していたことが多かったと思います。その経験が、成長していくにつれて、人の顔色を伺ったり自分よりも周りを優先してしまったりすることにつながっていきました。高校時代、放課後にコラボスクールで過ごし、先生でもなく友人でもない年が少し上のお兄さんお姉さんと勉強をしたり進路などを相談するようになり、自分で進路を選択して現在は大学で学びを続けることができています。能登半島の被災地では、ボランティアとして子どもたちと接する中で、当時の自分のように進路に迷う高校生たちと話をしました。地元のために還元できるようなことをするべきではないのか。本当は目指したい進路があるけれど、諦めるべきではないのか。そう悩む彼らに、自分が進みたい道を選択して、自分自身のことを大切にしたほうがいいと経験談とともに伝えました。結局、自分が進みたい方向に進むことが、最終的に復興における大きな力になると思うんです。
ハタチ基金 今村久美 代表理事
継続して活動を続けていたからこそ、こうして当時の子どもたちが、現在被災地で過ごす子どもたちに大切なことを伝えることができたと思っています。震災直後は、日本中が東北被災地を応援して、被災された方々も頑張ろうという勢いが大きかったと思います。でも、頑張ろうという気持ちの糸が切れるときに、子どもたちが自分自身のこれからと向き合わなくてはいけないときがやってくるかもしれない。そんなときが必ず来るはずだと思って、長い時間をかけて子どもたちを応援し続ける仕組みが必要だと考え、ハタチ基金をつくりました。活動を開始した直後から一ノ蔵さんには長年ご支援をいただいており、その支援を20年間続けると言ってくださっています。そのお気持ちは私たちや東北の子ども支援団体にとって、大きな力となっています。心より感謝しております。
一ノ蔵の皆さま、商品を購入してくださり寄付につなげてくださった皆さま、ありがとうございました。また、日本酒を通じてハタチ基金を知っていただく機会をいただき、今後の活動の励みになります。いただいたご寄付は、東日本大震災で被災した地域の子どもたちのために大切に使わせていただきます。
寄付贈呈式のYouTube映像も、ぜひご覧になってください。
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