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法人・団体からのご支援
2022.12.19 ハタチ基金を10年間支援するダイドーグループホールディングス 社会貢献活動の軸は“地域への継続的な応援”

2012年より、毎年継続的にハタチ基金に寄付をくださっている、大手飲料メーカー「ダイドードリンコ」を事業会社にもつ「ダイドーグループホールディングス」 今年、ハタチ基金への支援が始まってから10年となります。その節目の年に、ハタチ基金代表 今村久美がダイドーグループホールディングスの髙松富也 代表取締役社長に、東北の子どもたちに寄せる思いを伺ってきました。

現地のニーズの変化とともに支援の形も変化していく

今村:今年もご支援をいただき本当にありがとうございました。初めてご寄付をいただいてから10年になりますね。継続的に私たちの活動を見守ってくださっている企業の方々がいらっしゃるのは、本当に励みになりますし心強いです。

髙松社長:先代社長の頃からの寄付になりますが、10年は長かったようなあっという間だったような気持ちです。当時被災した子どもたちももう大人になっている子もいますよね。

今村:そうですね。社会人になっている子どもたちも増えて、一度は進学で地元を離れた子どもも東北に戻ってきて、支援する側になったりしているんですよ。すごく驚いています。

この10年で被災した地域にもたくさんの子ども支援団体ができて、まだまだ規模は小さいけれど、根を張って地域密着で頑張っている方々がいることがわかってきました。東北の支援団体のネットワークが少しずつ広がってきていて、東北三県で顔が見える関係を築き始めています。

髙松社長:子ども支援団体が増えているんですね。それは素晴らしいことです。10年経って復興も進みましたが、その中でも必要としているご家庭が多いということですね。

今村:町も駅もきれいになったし、電車も繋がりました。基本的には復興作業は完了ということに近いと思います。


2022年度助成先団体に加わった、NPO法人底上げ。ハタチ基金への寄付で福島県楢葉町の子どもたちの居場所づくりを行う。

一方で、子どもたちやその家庭を取り巻く課題は変化していますが、なくなってはいません。震災直後は生活全般のことでほとんどの家庭が困っていたので、支援内容は今よりもシンプルだったのかもしれません。でも現在は、一人一人のニーズが多様になり見えにくくなってきています。そのため、地域に根差して細やかに一人一人を支えられる現地の団体が必要なんです。

大切なのは一時的な支援ではなく継続的な支援

今村:ダイドーグループホールディングスさんがハタチ基金を長く支援してくださっている理由はどうしてなのでしょうか。ハタチ基金のことは社内の方が見つけてくださったと伺っていますが。

髙松社長:当社は、東日本大震災をきっかけに、2012年より「地域コミュニティ貢献積立金」を毎年積み立てています。「人と人とのつながりを通じた地域コミュニティ活性化への貢献」、「地域コミュニティ活性化に貢献できる人材の育成」、「地域の伝統文化、豊かな自然環境の保護」や「文化振興につながる観光の促進」をテーマに社内でオリジナルの支援活動を行うための活動費となっています。継続して活動できるように積み立てをしていることもあって、支援する団体も一時的ではなく長く活動されているところにこの基金を役立てていただこうと思っています。
ハタチ基金は20年活動すると最初から掲げられていたので、ぜひ寄付したいとお声がけさせていただきました。

今村:長く継続的な支援のおかげでハタチ基金は存続できています。活動期間が長くなってくると、現地の状況の変化が手に取るように見えてきて。これは20年で子どもたちへの支援を終わらせてはいけないなと思い、震災から10年目の節目に方針を変えました。これまでは、比較的経験値がある非営利団体がハタチ基金に参加して東北で活動をしていたのですが、今後は地域で細く長く活動をしてくれる小さな団体に積極的に助成をすることにしたのです。支援は続けることにも大きな意味があると思いますし、ハタチ基金の活動期間が終わっても、その土地で子どもたちを見守ってくれる団体が必要だと考えました。

髙松社長:その方針は素晴らしいですね。継続することで子どもたちの成長や地域の変化にも敏感になれると思います。アンテナを張りながら、引き続き私たちの会社で何ができるのかを考えていきたいと思っています。

地域に活気が出るように 共通の可能性が見える東北支援と祭り支援

今村:ダイドーさんは、他にも様々な社会貢献活動を行っていますよね。例えば、全国のお祭りの支援であったり。これは、ハタチ基金にご支援いただく前から取り組まれている社会貢献活動ですが、ダイドーさんが考える、社会貢献活動の軸はどのようなものなんでしょうか?

髙松社長:「ダイドーグループ日本の祭り」といった名称で祭りの支援に取り組んでいますが、主に、地域の小さな祭りから大きな祭りまで、1時間のドキュメンタリー番組を各地の放送局と制作し放送をしたり、地域の人たちや行政の方たちと祭りを通した地域活性の施策を考えたり、様々なお手伝いをさせていただいています。

上桧木内の紙風船上げ(秋田県仙北市)
竹駒神社初午大祭(宮城県岩沼市)

もともと先代の社長が祭りの協賛を始めるときに、私も祭りに参加をしてみたのですが、あのときの感動を忘れません。祭り自体のパワーも素晴らしかったですし、地域の人たちの情熱を肌で感じました。しかも外から来た私たちのことも温かく迎え入れてくれて。祭りを応援することが地域の方々の活気に繋がるんだということを身をもって感じました。徐々に全国に広げていって、今では年間35か所ほどの支援をしています。20年活動を続けていることもあり、これまで500ほどの祭りを応援してきました。

今村:500はすごいですね!

髙松社長:その地域の人たちの生活の中心にあるような祭りを応援することで、地域を元気にしていけたらいいなと。地域が元気になれば日本全体が元気になるという願いでやっています。私たちは飲料販売を自動販売機中心で行っていますが、全国津々浦々に自販機を置かせていただいて、地域の人たちに支えられてこれまで成長してきたという思いがあります。地域活性化に貢献することは恩返しのような思いもありますし、当社グループのビジネスは、地域社会との共存共栄によって成り立っていると考えているため、一緒に元気になって、共に支えあっていきたいと思いながら活動をしています。

今村:祭りの支援を通して何か手ごたえのようなものを感じたことはありますか?

髙松社長:手ごたえというか、お祭りって地域のひとつのコミュニティとして機能していることがわかってきました。ほとんどの祭りは地元の人たちだけで代々脈々と続けてこられていて、その中には長老のような人がいて、青年団があって、祭りを中心に学校や会社とは違う地域のコミュニティや人間関係が存在する。どの地域にも独自のコミュニティがあることが大事だということに気づかされました。過疎化が進む地域でも、祭りのときは若者も戻ってくるような。そういったことがずっと続いているので応援していきたいです。

今村:何だかハタチ基金の活動と似ている部分がありますね。学校とは違うヒエラルキー、学校とは違う縦割りではない“ななめの関係”ができている祭りの存在に救われている子はたくさんいるんだろうなと。学校だと不良として扱われている子が、祭りではリーダーになれたり。

髙松社長:そういったことはありますよね。

今村:地域に根ざして活動する団体を支援するといった方針に変えたことで、祭りのように熱気の輪が広がっていってほしいです。小さくても誰かに貢献したい気持ちとか、小さな輪がいっぱいできて、コミュニティが増えていく。そういった支えあいの形を後押ししていきたいと、ダイドーさんの社会貢献活動で大切にしていることを伺って改めて考えることができました。

地方に目を向けた若者たちを応援して日本を元気に

髙松社長:地域社会が元気になることを目指してさまざまな社会貢献活動を行っていますが、最近若者たちは、私の時代と比べて地方に目を向けている方が多いように感じてすごく嬉しいです。リモートワークも柔軟にできるようになって、従来のような都会に出ないと仕事ができないといった形でもなくなってきていますよね。

今村:本当に働き方が多様になって地方にも可能性が生まれましたよね。

髙松社長:我々の世代はどうしても東京・大阪などの都心に出ないと何も楽しいことがない、仕事もないといったような流れもあったのですが、そのせいで地域の活気をなくし、日本全体の勢いを無くしてしまったと感じています。

もう一度、地域の魅力に感心を持ってもらって、地域に産業や仕事が増えて活気が出てくれば日本が元気になると信じて活動をしておりまして。地域がどうすれば良くなるのか興味を持って一緒に考えてくれるような若者が増えてほしい。そして、そういった若者たちを応援していきたいなと思っています。

今村:社会貢献活動の1つのテーマは、地域を元気にすること。そして日本を元気にすることなんですね。ハタチ基金に参加している子ども支援団体のほとんどが、子どもの成長や自立を見守りながら地域の活性化も目指しています。ダイドーさんと目指すべき方向が同じことがわかって大変嬉しく思います。本日はありがとうございました。

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