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2026.07.17 ここにいていいと思える安心感 緩やかに助け合う福島の子どもの居場所~一般社団法人CARNIVAL WORKS~

福島市・桑折町を拠点に子どもの学びと居場所づくりを支えている、一般社団法人CARNIVALWORKS。企画運営の中心となるのは、高校生や大学生たち。子どもたちにとって彼らは、年齢がちょっと上の、悩んだ時に寄り添ってくれる“お兄さん”や“お姉さん”。常にそこにいてくれる安心感によって、心を閉ざしていた子からも本音が出るように。一方で、支えている高校生・大学生にとっても、地域の課題を自分事化できる場となり、新たな挑戦や成長へとつながっています。

一般社団法人CARNIVALWORKSの江藤大裕さんに、活動によって子どもたちや学生たちにどのような変化が起きているのかを伺いました。

一般社団法人CARNIVALWORKS 江藤大裕さん

大阪市西成区出身。高校3年生の時に阪神淡路大震災で被災。東日本大震災時には、福島県郡山市で子育ての最中、二度目の被災。その経験を糧に、子ども達の未来が少しでも笑顔で彩られることを願って、福島県内で子ども食堂の活動を広げ、地域全体で子どもたちを支える仕組みづくりに取り組む。2022年、一般社団法人CARNIVAL WORKSを設立。「ひとりひとりが心躍るストーリーを、楽しくて笑顔の尽きないまちを、そしてオモシロすぎる未来を」を理念に掲げ、高校生・大学生とともに地域課題に向き合うプロジェクトを数多く展開。世代や立場を超えて誰もが役割と出番を持てるまちづくりを実践している。

一般社団法人CARNIVALWORKSについて

福島市・桑折町を中心に、子どもたちの学びと居場所を支える活動や、高校生・大学生が社会課題に関わる地域教育の活動を行っている。主な活動内容は、ひとり親家庭を含むさまざまな家庭の子どもたちを対象にした子ども食堂型の無料塾「FOUR’S STUDIO」、桑折町全体を子どもの居場所に見立てた「KIDS HOME KOORI」、高校生・大学生が企画・販売・発信まで担うチャリティカフェ「anneau café」、廃棄寸前の花をアップサイクルする「DRY FLOWER PROJECT」、福島の学生たちがつくる売らない本屋「ピエロ書房」など。単に支援を届けるだけでなく、学生自身が企画運営の中心となり、子どもたちや地域の大人と一緒に、笑顔とつながりが生まれる場を生み出している。

特別な支援ではなく「自分のことを見てくれる人がいる」という安心感

東日本大震災以降、コミュニティの希薄化が進み、困った時に「助けて」といえる関係性が喪失されてきました。また震災から時間が経つにつれ、被災地域の課題や困りごとは、どんどん見えにくく、より孤立を深めていくご家庭や子ども達が多くなってきています。さらにコロナ禍も重なったことで、子どもたちが安心して集まれる場所や、家庭・学校以外で本音を話せる関係性もどんどん少なくなっていると感じます。

私たちの無料塾に来る子どもの中には、最初はほとんど話さず不安げで、勉強にも自信がない様子の子がいます。けれど、学生スタッフが横に座って一緒に問題を解いたり、勉強の後にボードゲームをしたり、一緒にご飯を食べたりする中で、少しずつ表情が和らいでいきます。被災した地域の子どもたちに必要なのは、特別な支援だけではなく、「ここに来ていい」「自分のことを見てくれる人がいる」「悩んだ時に寄り添ってくれる人がいる」と感じられる日常の積み重ねだと思っています。

無料塾の様子。教えているのは高校生。現在、学生スタッフ数は300名を超える。

相互に関わりあい 緩やかに助け合う仕組み

私たちは、子どもたちを一方的に支援するのではなく、子どもたち・学生・地域の大人が一緒に関わり合い繋がりの中で緩やかに助け合う仕組みをつくることで支援していきたいと考えています。無料塾では、学習支援だけでなく、食事、遊び、体験を組み合わせ、子どもたちが「ここにいていいんだ」と思える空間を生み出しています。また、居場所には高校生・大学生が子どもたちの傍にいつも寄り添ってくれている環境があります。先生や親とは違う、少し年上のお兄さん・お姉さんのような存在だからこそ、子どもたちが話せることがあります。さらに、学生たち自身も、子どもたちとの関わりを通じて「地域の課題に自分はどう関われるか」を学んでいきます。

高校生・大学生が主体となって運営する、子ども食堂。進学や就職で県外に行った後も、現地NPOや教育機関などで子どもや地域課題と向き合いながら活躍する子も多いという。

子どもたちと学生の関わりも回を重ねるうちにお互いの名前を覚え、子どもから話しかけたり、宿題を見せたり、食事の準備やお片づけを一緒に手伝ったりする微笑ましい姿がたくさん見られています。子どもも学生も「また来たい」と思える場所ができること。そして自分も誰かの役に立てると感じられることが、子どもたちや学生たちの大きな成長へとつながっていると感じています。

子どもを支える活動であると同時に、次の世代を育てる活動として、長く続く地域の循環を作っていきたいです。

参加した大学生の声

『ボランティアに参加してから自分の得意なことが見えるようになり、イベントの企画などを通して、前よりも自分に自信を持つことができるようになりました。また、他のボランティアの人と話したり、協力したりすることでコミュニティが広がり、様々なことに挑戦してみようと前向きな気持ちになることが多くなりました。前までは、何か行動をする時には不安の方が大きかったけれど、今は興味のあることはやってみようと思えるようになり、以前よりも自分自身が好きになりました。たくさん活動できる機会をつくってくださりありがとうございます。これからもボランティアに参加したいと思っているので、よろしくお願いいたします。』

『いつも安心して帰ることができる場所があって、とても嬉しいです!!これからも子どもたちの笑顔が見える活動が続くこと願っています。』

『ボランティア活動を通して多くの学びを得られたことに、CARNIVAL WORKSさんへの感謝の気持ちでいっぱいです。子どもたちの居場所をつくってくださっているおかげで、私たちボランティアスタッフにとっても安心していられる居場所になっていると感じています。本当に感謝しています。』

売らない本屋「ピエロ書房」

最近特に力を入れている活動の一つが、学生たちがつくる、売らない本屋「ピエロ書房」です。本を販売するのではなく、本や物語との出会いを通して、子どもたちや地域の人たちが自分の気持ちや世界を広げるきっかけをつくる取り組みです。イベント会場や様々な場所をまわり、まちの中に小さなサーカスのような空間を生み出しながら、人と人とを繋ぎ、物語を紡いでいます。

ピエロ書房の様子。子どもも大学生も笑顔になる時間に。

ピエロ書房の活動では、子ども達は学生たちと初対面でも、本や物語をきっかけに「もっと読んで!」とお願いをしていたり、関係性がすぐに深まっていく様子が見られます。

また、学生たちにも変化が。ピエロ書房のロゴ製作や本の選書、空間レイアウトまですべて学生が企画し、主体性を持って運営に関わることが成功体験となり、大きな成長につながっています。子どもたちと接する中でも、孤立、体験格差といった言葉だけでは見えなかった課題を実感し、自分たちにできることを考えるようになっています。

子どもたちは自分にそっと寄り添ってくれる安心感を感じ、学生たちは自分にも地域を変える力があると感じる。その双方の変化が、この活動の大きな価値だと思っています。

さらに、空き家を改修し、不登校や生きづらさなど多様な背景を持つ子どもたちのための居場所づくりを2027年より開始することを目標とし、実行委員会での準備がスタートしました。学生たちのプロジェクトチームが熱い議論を重ね、居場所の構想やSNSでの発信方法などを日々話しています。どんな居場所が生まれるのか乞うご期待です!

長期的な支援を続けて見えてきたこと

ハタチ基金の助成のおかげで、学生たちが子どもたちと継続的に関わるための活動基盤をしっかりと整えることができています。特に、無料塾や子ども食堂、体験活動、学生主体のプロジェクトを安定して実施するうえで、会場費、食材費、教材費、移動費、広報物の制作費など、活動を続けるために必要な部分を支えていただいています。学生たちにとっても、単発のボランティアではなく、子どもたちと何度も会い、関係性を育みながら活動できることは大きな意味があります。

子どもたちに必要なのは一度限りのイベントよりも、継続して関わってくれる人と場所なのかもしれません。楽しいイベントは入口としてとても大切で、次のステップとして本当に子どもたちの安心につながるのは、会いたい人がいること、名前を覚えてくれる人がいること、失敗してもいい場所があることです。一方で、継続することの難しさも感じています。資金や学生メンバーの入れ替わり、地域との調整など、活動を続けるためには多くの工夫が必要です。しかし、学生たちが卒業しても次の学生に想いのバトンが渡り、子どもたちが少しずつ成長していく姿を見ると、続ける意義を強く感じます。支援とは、何かをしてあげることではなく、地域の中に「関係性」を増やしていくことなのだと実感しています。

東日本大震災から15年以上が経ち、子どもたちを取り巻く課題はなくなるどころか、むしろ見えにくく複雑になってきています。家庭の経済状況、孤立、学習機会の格差、将来への不安などは、日常の中に静かに、そしてしっかりと存在しています。特に福島では、原発事故の影響により地域の分断や人口減少、体験機会の少なさは今も子どもたちの育ちに影響しています。だからこそ、子どもたちが安心して過ごせる場所、多様な大人や学生と出会える場所を作り続ける必要があります。子どもたちの未来を支えることは、同時に地域の未来をつくることだと考えています。学生たちとともに、楽しく温かく、長く続く支援をこれからも続けていきたいです。引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。


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