ハタチ基金の助成団体のひとつ、NPO法人トイボックスが運営する「みなみそうまラーニングセンター」。
震災および原発事故後に困難な環境におかれている発達や学習に課題を抱える子どもたちの居場所作りや学習・生活支援を実施しています。
2019年4月からは、放課後児童クラブ「錦町児童クラブ」をみなみそうまラーニングセンター内に開設し、待機児童解消と、障がいの有無に関わらず子どもひとりひとりを大切にしながら丁寧な支援が可能な複合型児童支援施設を運営してきました。
震災から9年が経ちますが、震災後の不安定な環境が発達や心理に影響をおよぼし、学習や集団生活に困難が残る子どもたちもまだいます。そういった子どもたちに、放課後に心のケアと学習支援をすることを目的に市内の放課後児童クラブの巡回訪問も継続して行なってきました。
南相馬市も新型コロナウイルスの影響により3月から学校が休校となりました。
それに伴って、錦町児童クラブの子ども達は、3月中は1日中児童クラブで生活することになり、ストレスを抱えながら生活しているように感じられました。
友達同士のトラブル、ルール違反が増えていきました。そこで、臨床心理士の方からアドバイスを頂き、ルールをしっかり理解できる環境にすることと、落ち着いて過ごすクールダウンの時間を設けることになりました。
(写真)子ども達が作った「児童クラブ やくそく」
■ルールはわかりやすく 掲示することで起きた変化
ルールは子ども達に説明し、よく目につく所に掲示し頻繁に確認がしやすいようしました。
はじめのうちは、全てを覚えることが出来ない子ども達もいましたが、掲示が目につきやすいところにあることで徐々にルールを身につけることができていきました。さらに、子ども達の中から、児童クラブのルールを書いて掲示したいという子がいたので任せてみることにしました。言葉だけでなく絵を加えることで分かりやすい内容に仕上げることができていました。
子ども達自身がルールを書き掲示することでより一層ルールに対する意識が高まり、落ち着いた雰囲気の中で生活することができるようになっていきました。
■子どもたち自ら決めたクールダウンの方法
また、落ち着いて過ごすクールダウンの時間として、「みんなタイム」という時間を設けました。
最初は「先生タイム」という時間を作り、支援員が決めた遊びをするという形で始まりました。
しかし、子ども達の方から自分たちで遊びを決めたいという提案があったので、主体的に遊びを決めてもらうことにした方がより楽しく遊べるのではないかと考え、「みんなタイム」という時間に変更しました。担当の児童が企画を考え、支援員や他の児童にも手伝ってもらいながら、遊びに必要な物を準備し、遊びの手順をみんなの前で説明し、遊びを進めていくことになりました。他の時間と比べて、トラブルが少なく楽しい時間となりました。
スタンプラリー、宝探し、フルーツバスケットなど様々な遊びが企画され、子ども達の発想力の高さを感じさせられる時間でもありました。
(写真) 思いっきり楽しむドッジボール
5月25日からは学校も再開され、子どもたちは徐々に日常を取り戻し始めています。そして、休校中に自宅で過ごしていた子ども達も児童クラブへ戻ってきています。新型コロナウイルスの影響により制限が多い中でも、楽しく有意義な時間を過ごし成長できるような児童クラブを目指していこうと思います。
多くの皆様のご支援により、放課後に子ども達が有意義な時間を過ごすことができるようになっていると実感します。心よりお礼を申し上げます。 ここには、課題を抱えた子どもも多く通っています。一人ひとりの子どもが安心安全を感じながら過ごすことができ、支援員の丁寧なサポートが受けられる環境が必要です。今後ともひきつづき皆様からのご支援をいただければ幸いです。
(写真) 静かに遊ぶ時間。この日はお絵かきに集中