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活動レポート
2021.07.21 東日本大震災と重なるコロナ禍の今 家庭からの悲痛な声に応えていく 設立10年を迎えたチャンス・フォー・チルドレン代表からのメッセージ

ハタチ基金の助成先団体である公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)は、2021年6月20日で設立10年を迎えました。その間、被災して経済的に困難な状況に陥った家庭の子どもたちに、塾などで使えるクーポンを提供。さらには、大学生ボランティアによる進路や学習面の相談を通して子どもたちを支えてきました。

これまでの10年、そして、今後のCFCの活動において、代表理事の今井悠介氏の思いをご紹介します。


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(写真) CFC代表理事 今井 悠介

2021年6月20日で、法人設立から10年が経ちました。この10年間、CFCと関わってくださった全ての皆さまに心から感謝いたします。

一般的な組織であれば、10年活動を続けてこられたということは、おめでたいことかもしれません。しかし、「子どもの教育格差」の解消に取り組む私たちの場合は、複雑な心境でもあります。「10年間活動を継続している」ということは、同時に「課題が10年間存在し続けている」ということを明確に表しているためです。

特に、新型コロナウイルスの発生によって、課題はこれまで以上に深刻化しています。新型コロナの影響で多くの家庭が所得減少しており、同時に子どもたちは様々な機会を失っています。

現在CFCは、職員・ボランティア総出で、過去最大規模の緊急支援に取り組んでいます。10年をゆっくり振り返る余裕のないまま、10年の日を迎えることになりました。まさか、このような状況下で10年を迎えることになるとは、想像していませんでした。

集合写真
(写真) 大学生ボランティア

■多くの方に支えていただいた小さなスタート

10年前、CFCは東日本大震災を契機に発足しました。私たちは、前身団体(NPO法人ブレーンヒューマニティー)での経験から、放課後の多様な学びや体験・人との出会いの積み重ねが、子どもたちの人生を豊かなものにすると強く信じてきました。

そんな中、リーマンショックによる経済不況、そして東日本大震災という未曾有の災害によって、多くの家庭が経済的な打撃を受けました。
CFCは、このような状況下で子どもたちが経済的理由で学びをあきらめることがないよう、社会全体で子どもや家庭を支える仕組みを作るために、活動をスタートしました。

最初から壮大なプロジェクトのように聞こえますが、実際は震災後に仙台市内のマンションの一室を借りて、20代の若者3人が住み込みながらはじめた、小さな取り組みでした。当時は、半年後の活動の見通しを立てることも難しい状況でした。

そのような小さなスタートではありましたが、多くの方々に支えていただき、10年間で延べ4,000人以上の子どもたちやご家族との出会いがありました。

そして、その背景には、まだ実績がない私たちを信じてくれた寄付者の方々、ボランティアとして参画してくれた大学生たち、協力してくれた塾や習い事の先生たち、他にも多くの支援者の方々の存在がありました。振り返ると、本当に人に恵まれた10年だったと思います。

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(写真) CFC代表理事 今井 悠介

■10年前と重なるコロナ禍

コロナ禍の現在、CFCの事務局にはご家庭から悲痛な声が届き続けています。この光景は、東日本大震災直後の10年前と重なります。当時も、日々被災されたご家庭からの電話が鳴りやまず、多くの子どもたちからの支援の申し出をお断りせざるを得ず、悔しい思いをしました。

今年もコロナ禍で厳しい状況にある家庭の子どもたちからたくさんの支援の申し出がありましたが、希望する全ての子どもたちに届けることはできておらず、自分たちの至らなさを痛感しています。

しかし、10年前と同じ光景ばかりではありません。10年間で積み重ねてきたものがあります。それは、活動を通じて出会った多くの方々との温かい関係性であり、そこから得た数々の学びです。
特に、前を向いて進んでいく子どもたちの姿からは、一人一人の人間が秘めている可能性の大きさを知るとともに、その可能性の芽をつぶさないための環境作りこそが、私たち大人が果たすべき重要な役割だと強く感じました。

そのために、自分たちの活動は本当に正しい方向に進んでいるのか?
迷ったり、葛藤したりしながら、それでも一歩一歩進んできた10年間でした。積み重ねてきたことを大切にしつつ、一方で社会の変化に合わせて、自分たち自身が変わることを恐れず、歩んでまいります。今後とも、ご支援・ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

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