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活動レポート
2022.09.25 女川向学館が子どもたちの心の拠り所になるように【一般社団法人まちとこ】~新・助成先団体紹介 vol.2~

2022年度のハタチ基金の助成先となった13の団体。本シリーズでは、新たに加わった助成先団体の活動紹介を通して、震災から11年を経て変化していく、被災した地域の子どもたちの現状や課題をお伝えします。

今回ご紹介するのは、宮城県女川町を拠点に活動する「一般社団法人まちとこ」。まちとこが運営する、小中校生を対象とした放課後の居場所「コラボ・スクール女川向学館」は、震災が起きた2011年にできました。これまでは、認定NPO法人カタリバが運営していましたが、より地域密着で長期的に活動を行っていく必要があると考え、新たにまちとこを設立して活動をスタートしました。

まちとこの下川蓮さんより、活動内容の紹介とメッセージが届きましたのでご紹介します。

受験を控えた中学3年生に勉強を教える下川さん(写真左)

下川蓮(しもかわ れん)さん

神奈川県小田原市出身。大学生時代、女川向学館を訪れた際に見た「先生」でも「友達」でもない、あたたかい繋がり方を見て「これこそ地域の人たちとの関わりが希薄化している今の日本に必要な関係だ!」と感じたことがきっかけとなり、卒業後は女川向学館で働くことに。現在は、小学生の学びのサポートや中学生への教科学習をメインに担当する。プライベートでは、気軽に寄れる温泉や美味しい飲食店がいっぱいある東北での生活を楽しんでいる。

■町は復興しても、今も失われたままの“子どもたちの居場所”

まちとこが運営する女川向学館は、主に女川町の小学生から高校生が利用しています。小中学生には放課後学習支援や、キャリア学習支援などを。また、フリースペースとして利用することもできるため、好きな本を読んだりスタッフや先輩とおしゃべりをしたりといった、気軽に寄れる“放課後の居場所”を目指しています。

私たちが新たにまちとこを設立して女川向学館を運営することになったのは、今もなお、町の中心地に子どもが気軽に集まることができる屋内の居場所が少ないためです。町は復興していく中、新しく綺麗な家や建物が立ち並ぶ風景へと変わり、観光客も多く訪れてくれるようになりました。しかし、子どもたちが集うことができる屋内の居場所は、静かにしなければならない図書館や、役場内にある小さなスペースしかありません。それらの場所では子どもたちが気軽に訪れるにはハードルが高いように思いますし、習い事の教室や学習塾などもほとんどないため、多くの子どもたちは学校と自宅の往復になりがちです。

■親でも先生でもない“ナナメの関係”の常駐スタッフ 

そんな中、女川向学館は2021年、活動拠点を町の中心地に移転しました。(まちとこ設立は2022年)アクセスしやすい環境でもあるため、学校が休みの土曜日には、平日には来られない石巻市まで通っている高校生なども来てくれています。

この場所で大事にしているのは、気軽に寄って気軽に話せること。少し年上で利害関係のない“ナナメの関係”のスタッフが常駐し、他愛もないことから将来の悩みまで、何でも話せるような場所になるよう日々子どもたちと接しています。私たちスタッフだけではなく、中高生が一緒にボードゲームしたり、社会人になった若者に高校生が人生相談をしたりする姿もよく見受けられます。人口が少なく、住人の繋がりが強い町の特性もあると思いますが、「行きたくなる女川向学館」が存在するからこそ、若者にとっての居場所や心の拠り所、交流の場がこの町に生まれているように感じています。

女川向学館で放課後に学習する中学生たち

また、中学生には平日の部活動の後に教科学習の支援を。小学生を対象に土曜日にイベントを開催するなど、女川向学館に訪れるきっかけ作りも行っています。
いつでも帰ることのできる「若者の居場所」として、女川町の若者にとって欠かせない存在となるよう活動しています。

女川小学校での授業支援の様子。学校に出張もしている。
女川町教育委員会の方とも連携して学習支援を行っている。

■寄付者の皆さんへのメッセージ

いつもあたたかいご支援をいただき、誠にありがとうございます。私たちが女川向学館で子どもたちの支援ができているのも、皆様からのご寄付のおかげです。そのことをしっかりと胸に刻み、女川町の若者のために力を注いで参ります。

女川町は訪れた方々の心に残る場所がたくさんあります。機会がありましたらぜひ遊びに来てください。
今後ともご支援のほどよろしくお願いいたします。


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